明海大学不動産学部/不動産の話題□24□<まちづくりと行政法(4)>

学生と教員の見方/「宅建業免許の本質」/自由の中にも秩序が大事/利用者の利益を保護【学生の見方&考え方】(4年 山野井千晴) 宅地や建物の不動産取引を支えているのが宅地建物取引業者である。一般的に、店舗を開業・営業することは原則、誰でも自由にできる。では、宅建業は希望すれば誰でも自由に営むことができるのだろうか。 現行の法制度上では、宅建業は誰でも自由に営むことはできないとされている。宅建業を営むためには宅建業免許が必要であり、二つ以上の都道府県に事務所を設置する場合には国土交通大臣の、一つの都道府県内の区域にのみ事務所を設置する場合は都道府県知事の免許を受けなければならないとされている。 この免許は、行政法学では「許可」といわれるものである。「許可」とは、「禁止」の解除とされている。つまり、法的にはすべての人に対し宅建業を営むことを禁止とした上で、宅建業法の規定を満たしているものに対し、個別に禁止を解除していくのである。確かに日本国憲法第22条では「何人も居住、移転及び職業選択の自由を有する」とあるが、これはあくまで公共の福祉に反しない場合のみである。 宅建業が誰でも自由に営める場合、家や土地などの大きな買い物をする際に適当な情報で利用者の利益が損なわれる恐れが大いにある。そこで一定の基準を設けることによってそれを防いでいるのである。これは宅建業だけでなく全ての職種に共通することである。自由の中にも一定の秩序が必要であり、それを守ることにより、利用者の利益を守るとともに業者としての役割を果たすのである。【教員による展開】(兼重賢太郎教授) 宅地建物取引業者(宅建業者)は、まちを構成する宅地や建物の流通を担う重要なアクターであり、まちづくりにおいても重要な役割を果たしている。この宅建業者を規律する法律が宅地建物取引業法(宅建業法)である。山野井千晴さんが指摘するように、宅建業法では宅建業を営もうとする者に対し、国土交通大臣や都道府県知事の免許を受けることを義務づけている。 宅建業法は、第二次世界大戦後の1952年に議員立法により制定された。しかし、制定当初から免許制度が導入されていたわけではなく、当初は登録制度がとられていた。まったくの自由放任の状態からすれば、登録制度も一定のフィルタリング機能を有するものではあったが、登録を受けること自体はそれ
情報元サイト:「週刊住宅タイムズ」
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