有限会社影山製油所 (島根県)
出雲大社の、そしてお客様の心の“灯”に。お客様が喜ぶ顔を思い浮かべて原料生産からこだわり抜く、菜種油作りの歩み
生産者の顔が見える安心の国産原料を使い、日本の伝統製法で作り上げた菜種油。搾油から精製まで一切化学薬品を使用しないため、老若男女を問わずどなたでも安心して召し上がっていただけます。天ぷらの概念が覆る、軽やかな食感と自然な風味を、ぜひご堪能ください。
安心して食べられる油作りのために、自分たちの手で原種を育てることを決断
神々の国と呼ばれる島根県出雲市に、厳かに佇む出雲大社。日本最古の歴史書『古事記』に由縁が記されるほどの長い歴史を持ち、遠い昔から人々に仰ぎ尊ばれてきたこの神社には、神様をお迎えするお祭りの日がくると橙の灯がともります。人々が神様を大切に思い献上する、灯明と呼ばれる灯火なのだといいます。
由緒あるこの出雲大社のお祭りに、60年以上にわたって灯明用の菜種油を献上し続けているのが、出雲市の老舗、影山製油所です。「昔はお豆腐屋さんでした。油揚げを作るための油を他から仕入れていましたが、やがて自分たちで搾るようになったのが影山製油所の始まりです」と話すのは、影山製油所の狩野 道雄さん。後に豆腐屋をたたんでも油を搾ることは続け、その原料と製法へのこだわりから、現在では原材料名欄に「国産菜種」と記述することを許された国内唯一の会社になったといいます。
出雲地方では1800年代から菜種の栽培と菜種油の製造が盛んに行われ、菜種油は行灯の燃料用として、そして生産量が増えてからは食用としても広く普及していきました。しかし、時の経過の中で状況は一変。行灯は電気やガス灯にとって代わられ、また食用菜種油の輸入量が大きく増えたことで、国内での菜種栽培は激減してしまったそうです。「かつて国産が主流だった菜種は、今では99%が輸入品になり、その大部分が遺伝子組み換えだと言われています。誰が作った菜種かも分からないままでは、安心して油を搾ることができません」
この状況を受け、安全な国産原料の確保のために、社長自ら動き出したのだといいます。「国立研究開発法人・食品産業技術総合研究機構に依頼して『ななしきぶ』『キラリボシ』等の原種の通常利用権を取得。自分たちの手でななしきぶの原種を育てることに決めたのです」
原料生産から製造工程まで一切手を抜かない、こだわりの詰まった菜種油
原種は平成20年に種をまき、初めて菜種油が完成したのは平成23年のこと。以来、純粋な品種と安心・安全の品質を守ることにこだわり続けてきたのだと、狩野さんは話します。
他の品種と交雑して性質が変わってしまわないよう、防虫ネットを張ったハウスで隔離栽培して採種。翌年、その種子を鳥取県大山町の増殖ほで厳重な管理のもと増やしてもらい、3年目には種子を契約農家へ。4年目にできた菜種を全量買い取る形で原料を確保しているそうです。さらに原種の刈り取りの際は、人の手と目で異なる種が混じっていないかを厳しく選別するほか、農家に提供する種子も毎年更新するこだわりようです。「農家さんとは常に情報交換をして、時々現地に赴いて確認も行っています。そこまでこだわって自分たちの手をかけて初めて、安心して食べられる油が作れます」
もちろん、こだわりは原料の生産方法だけではありません。「本来菜種が持つ酸化防止効果の高いビタミンEを失わないよう、搾油から精製まで薬品を一切使用しない、昔ながらの伝統製法を採用しています。そのおかげで、本来菜種油が持つ風味や香りが損なわれないだけでなく、酸化防止剤などを添加せずに済むので、身体にも安心です」
また焙煎は重油やガスを使わずに松を焚き、その日の温湿度に合わせた微妙な火加減調節を行うことで、油の良さを引き出すのだとか。さらに油を搾る際は、一つのタンクがいっぱいになるまで同じ産地の菜種で搾ることで、「誰がどのように作った菜種から生まれた油か」を自分たちも消費者も確認できるようにしているのだといいます。ここまで手間を惜しまずこだわり抜く原動力は、消費者が喜んだ顔をみたいという思いだけだと話す、狩野さん。
「アレルギーで天ぷらを食べたことのなかった子供が、うちの菜種油で調理した素揚げを食べて、とても美味しいと親子で涙を流して喜んでくれたのです。商売として成り立たないという人もいますが、こうして求めてくださる方がいる限り、きちんとしたものを作って出したい。手を抜こうと思えばいくらでも抜けますが、そんなことをしてはいけないのだと思います。これは消費者と農家さん、そして私たちの信頼関係を大切にして作られた菜種油ですから」
アレルギー・アトピーで悩む方や揚げ物が食べられなかった方の、最後の拠りどころになりたい
「子供向けの見学会では、菜種油を使った天ぷらを食べた子供たちがいつも大喜びしてくれています。今の若い人はいい油に接する機会が少ないと思うので、ぜひ一度食べてみて欲しいです。きちんと作られた菜種油を使ってみると、“これが天ぷらなのか”と感じていただけるはずですよ」
菜種油で揚げた天ぷらは、サラダ油で揚げた白いものと異なり、菜の花色になるのだとか。食感はサクッと軽く、油の強い香りが残らない自然な風味で、一口噛めば違いがわかるのだといいます。さらに、影山製油所の製法はビタミンEを損なわないため油のコシが強く、差し油をしながら使えば廃油として捨てずに使い切ることができて、環境に優しいのも魅力の一つ。こだわり抜いた自慢の菜種油の魅力を、より多くの方に届けたいと狩野さんは話します。
「100%国産にこだわり、何かを混ぜたりせず元の菜種のまま安全な油を作っているので、どんな方にも安心して食べていただけます。アレルギーやアトピーで困っている方や、これまで天ぷらを食べられなかった方が、最後に私たちのところにたどり着いてくれたら、もう大丈夫ですよと伝えたいですね。みなさんが喜んでくださることだけを願って、これからも丁寧に作り続けます」手作りであることへの誇りを胸に、こだわり抜いて作られた安心・安全の菜種油を、大切な方に贈ってみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した企業
有限会社影山製油所 (島根県出雲市)
菜種油の原料生産から製造までを一気通貫で手がける、生産・販売会社です。純粋な品種を守ることや農家さんが再生産を続けられるよう支援すること、そして安心・安全で身体に優しい品質を維持することにこだわり、日本の伝統製法での製造を続けてきました。次の世代に本物の味を伝えるべく社会科見学なども積極的に受け入れ、紙芝居を使った説明や製油所内の見学から天ぷらの試食まで、五感で本物に触れられる体験を提供しています。
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