世嬉の一酒造株式会社(岩手県)

“地域経済循環”の実現を目指し、岩手産の原料を集めてつくったクラフトコーラの魅力

岩手県で大正から続く蔵元「世嬉の一酒造」のビール部門の工場から生まれた「こはるコーラ」。岩手県一関市で生産される「小春二条大麦」をはじめとする、自然由来の原材料だけで作り上げた、どこか懐かしい味わいが特徴です。パッケージは東北らしくこけしをデザイン。見た目にもかわいらしくて楽しめる、岩手のご当地クラフトコーラです。

クラフトコーラブームを牽引する草分け

今から10年以上前、老舗酒造の新しいチャレンジとしてビール醸造をスタート。「その原料となるホップは一部、県産のものを使っていたので、麦も自分たちで作ろうと考えました」という佐藤航代表。地元の農家、そして東北農業研究センターと一緒になり、岩手のような寒冷地でも育つビール用大麦「小春二条大麦」を開発したのだといいます。

農家が麦を作りそれを麦芽化。それを購入してビールにすることで、地域でひとつの産業ができる“地域経済循環”を目指していたといいますが、ビール用大麦は補助金の対象ではないことが判明。地元の農家にはメリットがないことがわかりました。

「そこで何か別のものを作れないかと考えていく過程で、実は担当農家の方がお酒を飲めないことがわかり、だったらお酒ではない飲み物をということで“地コーラ”を作ろうという話になりました」

そのアイデアを当時、自然食品の会社に持っていくと非常に喜ばれたのだとか。彼らとの意見交換を行う中で、砂糖や香料を一切使わずに自然のものだけで作っていこうというコンセプトが固まっていったといいます。

「ところが当時はビール事業が伸びていたこともあり、コーラを作る暇がありません。研究は進めていたものの、なかなか商品化は進まなかったのですが、コロナ禍となり飲食店でのお酒提供がなくなったことを機に、コーラ事業を再開。奇しくも、昨今のクラフトコーラブームを牽引することになっていました」

お客様の声を元に開発をし直す。だからバッチごとに味が違う

老舗酒造でありながら、無用な“こだわり”は持たない。それが新しい商品を生み出す原動力になると佐藤代表は言います。「こだわりを持つよりは、新しいものをどんどん取り入れていこうという企業姿勢です。会社全体として、酒もビールもレストランも“これしかやらない”という考え方は持たずに、どの領域においても、どんどん商品開発をしています」

今回のクラフトコーラが生まれたのは、そういった気風があるからに他なりません。
「私たちが掲げていたコンセプトは、“世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを”というものでした。ところが今は業態が変わっているので、酒造りだけでなく様々なところでお客様が喜ぶことを常に考えています。また、昔から競争しない会社で、営業マンもとくにいません。競争せずにモノづくりに特化し、“欲しい人に作った分だけ出す”というスタンスでいます」

営業がいないので、新しい商品を開発した時から半年、もしくは1年かけてバイヤーさんに見つけてもらい、そこからようやく取引が始まります。なので、作ってから世に出るまでの時間を長く見ているのだといいます。

「こはるコーラもスタートしてから一気に卸すというよりは、懇意にしているところに少しだけ卸して、そのフィードバックを元に開発をし直しています。ですから、バッチごとに味が変わっていきます」

日本酒は蔵の関係上、改善しようと思っても次の年からになってしまいますが、ビールやこはるコーラは年中作れるので、常にお客様の声を聞いて工場長と相談。常に商品が美味しく進化していきます。

身体に優しい、身体が求める飲み物

私たち人間が本当に美味しいと感じるものは何でしょう?それは身体に本当に良いものだと佐藤代表は言います。

「一般的なコーラは何百年も作っているので、洗練された刺激的な味覚を求める人にとって良い味だと思います。それを否定するつもりはありません。私たちのコーラは天然素材だけで作っているので、そういう意味では少し東北らしさを感じる野暮な味かもしれません。でも身体に優しい、身体が求める飲み物であることは間違いありません」

原材料として表示されているのはすべて、一目見て、どういうものか分かるものばかり。
「砂糖はすぐに吸収できるので血糖値が上がりやすくなります。なのでエネルギー補給には良いのですが、現在人は少々砂糖を摂りすぎているようです。こはるコーラは麦芽糖と果物由来の果糖を使っていますが、身体に入ったのちに、一度分解されてから吸収されるので、血糖値の上がり方も緩やかになるといわれています」

デザインにもこだわっています。
「“世の人々が嬉しくなる一番の酒造り”をコンセプトにしているので、コーラはお酒ではありませんが、見た目もほっこりするものが良いのではと考えていました。私たちは東北なので、有名な鳴子こけしに近い顔にしました。そうすることによって、ただ飲むだけではなく、置いているだけでも心が豊かになるのではないでしょうか」

コーラの味は1種類ですが、こけしのデザインは6種類を用意。全部並べて、その表情の違いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

リピーターが自然とできるよう、商品をブラッシュアップし続ける

まだまだ、こはるコーラの改良は続けていくという佐藤さん。「一般的なクラフトコーラには、たくさんのスパイスが使われています。ところが私たちは、国産の素材にこだわって味を組み立てていきたいと考えているので、まだまだ変化していきます」

現在も、使っているスパイスの配合を変えてみたり、山椒やゆずなどを使って実験しているのだとか。その中から美味しいものが見つかると言います。

「営業マンがいないので、こちらから一方的に押しつけることはしません。口コミのように広がって、様々なお客様に飲んでいただき、“美味しい”と感じてくださった方がファンになっています。そのようなリピーターが自然と出来ていくように、自分たちで商品をブラッシュアップしています」

佐藤さんは、こはるコーラを通じて、岩手県に興味を持ってくれる人を増やしたいのだと言います。
「ネットで商品を知っていただくというのは、そのきっかけに過ぎません。蔵も開放しているので、“行ってみたいな”と思ってくださったら嬉しいですね」

今回ご紹介した企業
世嬉の一酒造株式会社 (岩手県一関市田村町)

岩手県一関市で創業していますが、今年で103年目を迎える酒造会社です。もともとは「くまぶん酒造」という江戸時代から続く酒蔵を、現社長の曾祖父にあたる方が大正7年にそれを買い取って始めたのだとか。 その頃は「横谷酒造」という名前でしたが、皇族の閑院宮さまという方が来られて「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを目指しなさい」という意味をこめて「世嬉の一」という名前をいただきました。1995年にクラフトビール部門を作りました。いわて蔵ビールは評価も高く、今は海外にも輸出をしています。先日はロンドンで開催されたWBA(World Beer Awards)で、カテゴリー別で世界一になりました。

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