東南アジア経済の見通し~観光関連産業の回復により内需中心に安定した成長が続く
■要旨
2022年7-9月期は東南アジア地域で今春以降の入国制限措置などのコロナ規制の緩和により観光関連産業が持ち直し、内需を中心に経済が回復した。海外経済の回復により財貨輸出も堅調に推移した。
消費者物価上昇率は、当面は米利上げペースの減速により各国通貨の減価圧力が弱まるものの、国内経済活動の回復により受給面からの物価上昇圧力が働いて高止まりしよう。その後はこれまでの利上げ効果と通貨安による輸入物価上昇の一巡を受けてインフレは次第に減速すると予想する。
金融政策は、当面インフレの高止まりや米国の利上げ継続により各国中銀は金融引き締めを継続するだろう。しかし、2023年前半には米利上げの打ち止めや各国のインフレ圧力の低下が確認されるなかで金融引き締め策が終了すると予想する。
先行きは、10-12月期がベース効果の剥落により成長率が低下し、その後も財貨輸出の鈍化より景気回復の勢いが弱まるものの、インバウンド需要の増加により観光関連産業が持ち直し、内需を中心に安定した成長が続くと予想する。
■目次
1.東南アジア経済の概況と見通し
・経済概況:コロナ規制の緩和による経済回復が続く
・物価:年内高止まり、来年低下へ
・金融政策:2023年前半まで金融引き締め継続
・経済見通し:観光関連産業の回復により安定した成長が続く
2.各国経済の見通し
2-1.マレーシア
2-2.タイ
2-3.インドネシア
2-4.フィリピン
2-5.ベトナム(経済概況:コロナ規制の緩和による経済回復が続く)
東南アジア5カ国(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム)はコロナ禍からの経済の回復が続いている。各国政府はオミクロン株の感染が改善に転じた今春から観光産業の早期回復を目指して外国人観光客の受け入れを加速、これまで水際対策として実施していた入国規制(入国後の隔離措置や入国時の陰性証明書など)をほぼ撤廃したほか、オミクロン株の流行に伴い見合わせていた活動制限を更に緩和した。このため観光関連産業が持ち直し、国内の雇用所得環境が改善して内需が景気の牽引役となったほか、海外経済の回復により財貨輸出も堅調に推移している。22年7-9月期の実質GDP成長率(前年同期比)はマレーシア(同+14.2%)、ベトナム(同+13.7%)フィリピン(同
情報元サイト:「株式会社ニッセイ基礎研究所」
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