
株式会社 グラスキューブ(富山県)
1000年近い歴史のある手延べ麺にルーツを持つ「清流素麺」が地域の食文化と農業を守る―富山県・グラスキューブめんめん館
富山県の西南部に位置する限界集落・利賀村で、知る人ぞ知る手延べ素麺「清流素麺」が作られています。廃業の危機を乗り越え、地域のため、そして本当に上質なもの、安心・安全なものを届けたいと手仕事を大切に作り続けられています。日本の豊かな原風景が残る利賀村に思いを馳せつつ「清流素麺」をお召し上がりください。
能登、富山県・砺波平野に伝わる手延べ麺作りの伝統

諸説ありますが、鎌倉時代に後醍醐天皇が命名した曹洞宗の総本山「總持寺」に中国から禅宗とともに手延べうどんが伝来。「總持寺」は現在、神奈川県に移りましたが、もともとは輪島にありました。輪島のある能登半島は「麦屋節」という民謡があるほどの穀物地帯で、小麦は十分に採れ、山からの清らかな水に恵まれ、昼夜の寒暖差があり、うどん作りに適した地。そこから派生して素麺も作られるようになったと言われています。
そんな歴史と地域柄をもつ富山県の西南部、人口500人ほどの限界集落・利賀村で昭和58年に立ち上がったのが「グラスキューブめんめん館(旧めんめん館)」。百瀬川の清流と標高670mの澄んだ空気に恵まれたこの地域は手延べ麺作りに適した環境で、地場産業に成り得る商品を開発すべく建設されました。
地域の活性化を目指して立ち上がったものの、令和元年頃になると経営が行き詰まるように。そのとき事業を引き継いだのが地元のガラスメーカー。東京スカイツリーや羽田空港などの特殊なガラス製造も手がける技術力のある企業です。もちろん手延べ麺作りは範疇ではありませんでしたが、その代表が再建のために指示したのは「日本のどこにもないおいしい手延べ麺を作ること、コストは関係ない」という大胆かつシンプルなものでした。
開発当初の製法と最新の環境が蘇らせた「清流素麺」

日本で一番おいしいと思われるような素麺を作るという命題のもと、まず取り組んだのは工場の改修でした。利賀村は積雪が3mになることもある豪雪地帯。しかも、壁には断熱材が入っていますがガラスは放熱してしまうため、運営会社の特殊ガラスを採用することで、一年中、同じ温度、同じ湿度で管理できる工場に進化させました。それと同時に、老朽化していた機械もリニューアル、メンテナンスをして新品同然に。
麺の製法はその逆で、“昔に戻る”ことに行き着いたそう。開発当時は自然の風で乾燥させていましたが、衛生面を考慮して工場内に18℃の冷風乾燥室を新設。そこで3日、さらに常温の乾燥室(クリーンルーム)で1日、計4日もかけて乾燥させるという手間と時間のかかる製法です。麺の水分量は14〜16%、小麦粉に含まれるグルテンが強く結びついた状態が維持され、「3時間経っても伸びてない」と言われるほど茹で伸びしにくい麺になります。
コロンとかわいらしい“手まり型”の成形ももちろん手仕事。クルックルッと手首を回転させながら手際よく折り畳まれていくさまは、簡単そうに見えて実は難しい職人技です。長年、素麺作りに携わってきた地元の女性たちの躊躇のない手業は、見とれてしまうほどの美しさ。これを食べやすい大きさに割って、茹でるのが「清流素麺」のお召し上がり方です。
地域の農業を守り、6次産業化を目指すプロジェクトも始動

同じ富山県の企業とはいえ、ガラスメーカーが立て直しを買って出たのは、長く続いてきた伝統や雇用を守ることなど事業としての魅力以上に使命を感じたから。高齢化や人手不足、耕作放棄、食料受給率の低下など、さまざまな課題が山積している今、利賀村をはじめ砺波平野の後継者がいない農地を集約し、6次産業化を推進することで地域の発展に繋げていきたいと考えています。
例えば、JA全農の富山や石川とは、地場で採れる小麦「雪力」を材料にした麺作りを始めています。実際に、能登半島地震の以前に能登半島で作付けをしていて、その小麦を買い上げることが決まっていましたが残念ながら地震の影響で頓挫。その後も「農地を放っておくわけにはいかない」と再び作付けしたところ、次は豪雨災害に見舞われ収穫は叶いませんでした。それでも「2025年度こそは!」と、前を向きます。
さらなる取り組みとして、筑波にある農業生物資源ジーンバンクから“石川早生小麦”という原種の小麦をもらい受けて、輪島素麺の中でも高級品で徳川幕府の御用素麺だった「白髪素麺」を復活させるという目標もあるそう。添加物は天然塩のみと安心・安全で、地域に受け継がれてきた伝統の食文化を後世に繋いでいく役割も担っていきたいと話していました。
日本が誇る食文化の一つとして「清流素麺」をご賞味あれ

日本の食の豊かさは地域に根ざした食文化の豊かさです。脈々と歴史を受け継ぐ手延べ素麺「清流素麺」もその一つ。「先人の知恵、歴史と食文化が詰まった『清流素麺』を味わってもらいたい」と、価格ではない価値を提供しつつ「召し上がっていただければ、この素麺の特徴をわかっていただけると思う」と製品への絶対的な自信を滲ませます。
実際に、どこにでもあるものではなく、こだわりを突き詰めた「清流素麺」は現在、地元の道の駅をはじめ銀座・和光、高島屋、紀ノ國屋、成城石井、AKOMEYA TOKYOなどでも取り扱いがあり、知る人ぞ知る手延べ素麺として人気を得ています。特に豊かなライフスタイル、一食一食を大切に考えている層からの支持があつく「この素麺を食べたら他のものが食べられなくなりました」、「モチモチ、ツルンとしたコシのある麺がおいしくてリピートしています」などの声が上がっているそう。
また、富山県が県と県産品のブランディングの一環で取り組む「明日のとやまブランド」の育成支援対象品に清流麺シリーズが選定されたことで、今後ますます注目が高まることでしょう。その前に「清流素麺」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
今回ご紹介した企業
株式会社 グラスキューブ(めんめん館)(富山県高岡市)
「知っていることを自慢したくなる」「大切な人に食べてもらいたくなる」そんな特別感も味わえるのが、グラスキューブめんめん館の「清流素麺」です。小麦の風味を味わうためにシンプルな麺つゆで味わった後は、煮麺にしたり、和え麺にしたり、さまざまなアレンジを。いつもの素麺が一気に格上げされるはずです。
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