
大橋珍味堂 株式会社 (滋賀県)
手を加えないためにかけた手間の結晶―「無添加おつまみ4種 お試しセット 」
天保元年(1830年)に滋賀県で創業した大橋珍味堂。さまざまなラインアップが並ぶ同社の商品の中で、無添加で自然の素材感にこだわった珍味のセットが「無添加おつまみ4種 お試しセット 」です。ほとんど手を加えていないといっていいほどの4種のおつまみ、あたりめ・ほたるいか・甘えび・焼めざしの素材そのものの味が楽しめるセットです。
自然に近い商品を作る

「初めは、こだわりのお取引先に提案するためだったんです」
このシリーズを開発するに至ったきっかけについて、同社の取締役営業部長・ 野路さんはいいます。
提案は通り、その取引先で販売されるように。そしてさらに同じコンセプトで、調味料無添加でより素材感のある自然に近い商品を楽しんでもらいたいとシリーズ化したのだそうです。
同社の歴史は長く、創業は江戸時代の天保元年(1830年)まで遡ります。創業時はお茶屋さんだったといいます。そして時代の流れの中、先代の時代には酒屋さんへ醸造機械やお酒のキャップなどの商品を卸していたのだそう。その中で、要望に合わせておつまみも卸していたのだといいます。
そして現在の社長が就任。卸問屋からおつまみメーカーへと大変革を遂げます。そんな折、「おたくのおつまみはよそと何が違うの?」とよく聞かれたのだそうです。
そこで違いを説明できるエッジの立った商品づくりをしなくてはいけないと感じるに至ったのだといいます。
それ以来、同社では属性や嗜好も違ういろいろな人がいる中、それぞれ個別に「より深く刺さる」商品開発を進めていきます。その結果、バラエティに富んだ商品が揃うこととなりました。
この無添加おつまみもその1つ。販売開始3年ほどですが、深く刺さった熱烈なファンがすでに数多くついているそうです。
素材のよさを噛みしめてほしい

それでは、このシリーズはどんな人に刺さる商品なのでしょう?
野路さんいわく、やっぱり素材のよさを楽しみたい方だといいます。ちょっとずつでいいからいいものを食べたいという人にぴったりです、と。
確かにおつまみなのでお腹いっぱいまで食べるものでもありません。
「おつまみにするならとくに日本酒に合いますね。素材の味を噛みしめながらお酒も進みますよ」
そういいます。
そしておつまみとしてだけでなく、おやつとして楽しむ方もいるのだそう。
「例えば高校生など若い層もふくめて、女性にも受けがいいんです。カバンに入れていてもおかしくないようなパッケージにしています」
なるほど。実は同社には、どの商品にも貫かれているこだわりがあります。
「添加物はなるべく使わない」「味・美味しさにこだわる」「デザインにこだわる」の3つです。品質が高いことは前提となりますが、同じ品質ならデザインがいい方がいい。そう考えているそうです。そのこだわりがプラスになっているわけです。
またこの無添加おつまみのシリーズは、ヘビーユーザーが多い商品なのだそう。自分で買ってリピートする方もいれば、ギフトなどでもらってヘビーユーザーになる方もいるといいます。どこで売っているのか問い合わせが会社に入ることも。「そちらのおつまみが食べたいので、大袋入りはないんですか」という問い合わせもあるんですよ、そう教えてくれました。
中毒性があるんですね、そういうと野路さんはそうですねと笑いました。
もちろんリピーターが多いのには理由があります。
手を加えないためにかける手間

求めているような素材を提供できる仕入れ先を探すこと。それが大変でした。同社で仕入れ先を決める際は、候補となった何社かからサンプルを取り寄せて会議を行うそうです。このシリーズの仕入れ先もそうして決めたのだといいます。
商品ごとに仕入れ先は変えています。一社にまとめることもできなくはないのですが、やはり企業ごとに得意なジャンルがあるんです、そう話します。このセットの場合、あたりめは北海道・えびは兵庫県・ほたるいかは鳥取県・めざしは広島県から取り寄せているそうです。
ではどんなこだわりで仕入れ先を決めたのでしょう?
まずあたりめは、生いかを加工している点だそうです。冷凍いかを使うところが多い中、生のまま加工する業者を見つけるのが大変だったといいます。冷凍という余計な手を加えていない分、生の方がいか本来の旨味と甘みをより楽しめるのだそう。
また、繊維が糸のようになっている「毛羽立ち」がたくさんあるほど新鮮な証なのだといいます。うちのあたりめはとくにたくさんあるんですよ、と胸を張ります。
次にほたるいか。加工度が低く、より生に近い仕上がりを求めたそうです。半生のような食感で、内臓まで美味しく食べられます。
甘えびも頭を取ることなく付いたままのものを仕入れているので、頭から尻尾までパリッと美味しく食べられるようになっています。
めざしは遠赤外線で香ばしく焼き上げて仕上げてあります。しっかりした噛み応えも楽しめます。
どれも可能な限り自然なままの味わいを活かした素材ばかり。そういう素材を集めるために、相当な手間と時間をかけています。
素材のよさには絶対の自信があると言い切ります。例えば、甘えびやほたるいかはそもそも取り扱っているところが少ないのだそうです。めざしも漁獲量が減っており、扱っているところが中々ないといいます。ただでさえ扱いが少ない中で、同社の商品の素材は自然を活かした高品質なものばかり。
食べ比べると全然違うんですよ、野路さんは実に楽しそうに教えてくれます。余計な手を加えていない素材を見つけるために、全国を探し回る手間と時間をかけてきた賜物です。
「美味しい」の笑顔のために

もともと同社は創業時にはお茶の小売り店だったといいました。そして戦後。お茶で身体を癒すよりも、お酒で身体を癒すようになっていくだろうと先代は考えました。そこでお酒に関する商品の卸業に舵を切ったのだといいます。
しかし卸問屋は差別化が難しい。価格でしか違いを打ち出せない。低価格で卸すとなると、利益もなかなか出せません。結局大手には体力でかなわない、そうなってしまいます。
またおりしも時はちょうど酒類の販売の自由化が目前だったころ。販売が自由化されれば、さらに低価格化の流れが進む。これを機に問屋からメーカーになろう、そう結論づけたのだそうです。
しかしそれまでと違う業態に生まれ変わるのは、相当に覚悟が必要なことだろうと思います。社内に反対意見や混乱はなかったのでしょうか。
「社内に戸惑いはありませんでした」
利益が出ていないことは営業担当者をはじめ感じており、危機感があったのだといいます。お客様に喜んでもらうためには、自信を持って売ることのできる自社の商品を作るしかない。その中で、すでに取り扱っていたおつまみにシフトすることは自然な流れだったのだそうです。
やはり、お客様のためになることをする。それが商売の基本なのでしょう。そして江戸時代から続く同社にはその価値観が根付いているのでしょう。
「当社の経営ビジョンは『笑顔の関係作り』です。食べていただいた方のひと時の癒しになって笑顔になっていただければいい、そう思っています」
最後に野路さんはそう答えてくれました。
実は現在の代表は若いころに格闘技をしていて、内臓破裂など生死をさまようほどの大怪我をしたのだそうです。治癒してから、食べることは幸せになること・笑顔になることなのだと深く感じたのだそうです。
同社にかかわるすべての方に喜んでもらって笑顔になってほしい、野路さんのことばにもそんな願いが息づいていました。
今回ご紹介した企業
大橋珍味堂 株式会社 (滋賀県東近江市)
1830年お茶の小売り店として創業。戦後には時代の変化を読み酒類の醸造機器の販売へ業態変更、さらに現在の代表になりおつまみの製造へと転身。しかし業態が変わっても、徹頭徹尾かかわる人全てに幸せになってもらいたいという想いを貫いています。そのためには安全かつ美味しい商品を提供することが必要と考えており、その姿勢は「滋賀ハサップ(S-HACCP)」取得やなるべく合成保存料を使用しないなどといった結果に現れています。
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