株式会社 ホクニチ (鳥取県)

清らかな水を蓄えた大山からの贈り物―「大山豚手造りロールステーキ」

鳥取県にある「大山(だいせん)」は清涼な水を湛えた名峰です。山麓には名水が湧き出す場所が点在し、豊かで美味しい水を利用した農業や畜産も盛んです。「株式会社 ホクニチ」は大山を望む米子市にある、畜産物・水産物の加工と卸売りを行う会社。そんな同社が大山で育った「大山豚」で作ったのが「大山豚手造りロールステーキ」です。

柔らかい食感を活かしてロールステーキに

鳥取県の名峰・大山周辺の豊かな自然の中で育った「大山豚」の美味しさを伝えたい。きっかけはそんな相談を受けたことだったと、株式会社 ホクニチの代表取締役社長・酒井さんと同社商品開発部の畑さんは話します。

大山は『出雲風土記』にも記された日本最古の神山。中国地方の最高峰としても知られています。その山麓は「美水の郷」と言われるほどの名水の地。大山周辺の豊かな伏流水で育つのが鳥取県のブランド豚「大山豚」です。きめ細かく柔らかい肉質と豚肉ならではのうまみが特徴です。

柔らかい肉質を活かして、柔らかい食感の商品を作りたい。それがスタートだったのだといいます。ミルフィーユとんかつをヒントに、「薄くスライスした肉をステーキにできないか?」と考えたそうです。

初めに相談された取引先とともに、試行錯誤を重ねに重ねて商品は完成。お箸でもほぐれるほどの柔らかさを実現しました。その努力が認められ、同商品は販売2年で「日本ギフト大賞2019鳥取賞」を受賞します。同社への大きな贈り物でした。

贈る側も贈られる側も幸せに

ちょっと忙しくしている大切な人への贈り物として使ってもらいたい、そう酒井さんと畑さんは話します。受け取った瞬間・箱を開けた瞬間に感動してもらいたいとパッケージからこだわりました。高い品質を追求した商品でもあり、それにふさわしい高級感あふれるデザインにしたそうです。

また手軽さのために個包装を採用。忙しいときでも家族の人数分用意しやすいようにとの心配りです。冷凍の商品なので保存もきき、解凍さえしておけばすぐに用意ができます。

そして「自分で焼く」という点にはこだわったといいます。準備や洗い物の手間・時間はかかりますが、フライパンで焼き上げる音や火が通っていく香りもぜひ楽しんでほしい。その最後のひと手間だけはかけてもらって、焼きたてのロールステーキを食べてほしい。そう考えているそうです。

「美味しいものは人の心を豊かに、笑顔にします。たくさんの人に召し上がってほしいと考えています」

酒井さんと畑さんは話します。

美味しいものを「受け取った」人はもちろん笑顔になるでしょう。しかし同社では「贈る側にも和んでもらいたい」と考えているそうです。贈る側・贈られる側ともに喜べる商品づくりとは素敵なことではないでしょうか。

ギフトとして贈られた方から、商品の包装にある電話番号を見て「こちらで買えますか?」と問い合わせをいただくことが時々あるそうです。「美味しかったからまた食べたくて」と。きっと贈った方もそれを聞いたら嬉しくなることでしょう。

そしてみんなに喜んでもらえる商品とするために、同社ではさまざまな努力をしています。

ほぐれるような食感を生むために

贈る人・贈られる人、そして作る人。誰もが幸せになるように、同社ではあらゆる点で試行錯誤を重ね今も進化し続けています。

まず大山豚の脂身と赤身のバランスのよい部位はどこか、かなり食べ比べたといいます。部位を決めてからもベストの薄さを見つけるまで試作を繰り返しました。薄いと食感はいいけれども巻き上げるのが大変。厚いと巻きやすいけれど食感がよくない。結局美味しさを取り、極薄にスライスすることに。

「厚さは企業秘密ですが、薄すぎて生ではスライスできません。半解凍にして作業しています」

そう酒井さんはいいます。食感のために極薄にスライス。極薄にスライスするためにわざわざ半解凍の状態に。美味しさのためには手間暇を惜しみません。

肉のスライスは機械で行いますが、そこから後の巻き上げと切り分ける作業はなんとすべて手作業。巻きすにスライスした肉を手作業で並べて巻き上げます。

巻く力が弱すぎるときれいな丸に成形できず、カットのとき崩れてしまいます。かと言って強すぎてもすっとほぐれる食感になりません。ちょうどよい力加減を探し当てるのも大変だったそうです。

手作業ということは個人差ができやすいということでもあり、品質の安定が課題となります。品質を一定に保つために、担当者を固定。作業を3つの段階に分けて完成まで持っていくそうです。なお巻きすも特注の大きなものを使用。大きくなるほど全体を均一に巻くのが難しくなりますが、それも意識的に品質を保っているとのことです。

そうして試作を重ねて創り上げたロールステーキ。試食では社員皆さんの意見を大切にしています。

「社員のみんなが美味しいと思うことが一番です」

畑さんはそういいます。それだけに、皆さんが口をそろえて「美味しい」といったときには「これなら大丈夫」と思えたそうです。

「ぐるぐると真ん丸にできあがった商品はとても可愛いんですよ」

畑さんは微笑みます。自社の商品への愛情を感じます。おすすめの食べ方をうかがいました。

「素材の美味しさを味わってほしいので、フライパンで焼いたら塩コショウをおすすめしています」

自信がないとおすすめできない食べ方です。ポン酢や大根おろしと合わせてアレンジしても美味しいそうですが、まずはぜひ塩コショウでどうぞ。

大山からの贈り物

2018年に「大山開山1300年祭」というイベントがありました。「大山豚手造りロールステーキ」はそれに間に合うよう開発したそうです。2019年には「日本ギフト大賞2019鳥取賞」を受賞。受賞をきっかけに、社員全員の意識が変わったといいます。

「美味しくて安心・安全なものをお届けするという気持ちが一層強くなりました」

しかし顧客を大事にする気持ちと同様に社員を大切にしたいという気持ちもあり、ジレンマもあったといいます。

「やはり巻く作業は大変です。手作業なので1日約1000個作るのが精いっぱい。繁忙期は毎日それが続きます。時には担当者が『大変』『疲れた』とこぼすこともあります。そんなときは心が痛みます。作っている人を苦しめる商品でいいのだろうか?と悩んだこともありました」

今では製造時の負担を軽くするべく、製造スケジュールの調整や担当者のローテーションなど対策に取り組んでいます。また「美味しかった」のお客様の声を現場とも共有することで、気持ちの切り替えに役立てたり仕事へのプライドとしてほしいといいます。

自社の事業を通して、消費者に何を提供したい・どうなってほしいですか?という問いに、

「食を通じて地域貢献したいです。そしてより豊かな暮らしの実現に貢献したい。皆さんに幸せになってほしいと思います。そのために、思いやりが形になった商品づくりを続けていきたいと考えています」

酒井さんはそう答えてくれました。

確かに考えてみれば、ギフト商品とは贈る人の相手への気持ちそのもの。贈る人の感謝や思いやりを、贈る人に代わって形にしなくてはなりません。

「忙しいあの人に、手軽に美味しいものを食べてもらいたい」

その気持ちを私たちより先回りして商品にしてくれたのがこのロールステーキなんだなあ、と思います。そういえば、贈る側にも和んでほしいとおっしゃっていました。贈る側の気持ちを汲んでくれているのは、贈る側への贈り物ともいえないでしょうか。

澄み切った水が湧き出す大山山麓から全ての人に届けられる贈り物なのかもしれないと思いました。

今回ご紹介した企業
株式会社 ホクニチ (鳥取県米子市)

平成18年、鳥取県米子市で創立。前身となった冷凍食品最大手の子会社が解散、引き継ぐような形で会社設立。鳥取県で畜産物と水産物の加工、卸売りを行っています。地域と共にありたいと、鳥取和牛・大山豚・大山どりなど地元食材を使用した多くの商品を開発。「安心・安全 我が家で食べたい食品づくり」のモットーの通り、鳥取県HACCP適合施設の認定を受けています。今後も安心・安全な食品を提供し続けていく考えです。

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