株式会社 箕輪漆行 (福井県)
“愛着のあるものを大切にする” 伝統技法を体験できる「金継ぎセット」
初めての方にもお気軽に伝統技法「金継ぎ」を体験していただけるよう、材料をセットにしました。漆や金粉といった素材だけでなく、筆や手袋などの道具、わかりやすい説明書や動画もご用意しています。自然の産物である漆を使って壊れてしまったものを“再生”し、大切に使い続ける。そんな日本ならではの文化をお楽しみください。
“漆の価値を後世に伝えたい” 漆一筋450年、箕輪漆行の思い
今からおよそ9,000年前、縄文時代の頃から日本の人々の生活や文化を支える役割を果たしてきた漆。農耕具などを作る際の接着剤として、土器や宗教道具を美しく、また水を弾く便利なものにするための塗料として、そして困ったときに助けてくれる漢方薬の一種として……さまざまな形で使われてきました。
そんな漆の原料となる樹液を木の幹から採取する、「漆掻き」職人発祥の地・福井県今立町で、天正元年から漆一筋の商いを続ける企業があります。漆の販売量日本一を誇る、箕輪漆行です。
箕輪漆行では、仕入れた原料をそれぞれのお客様に合う漆に精製加工して供給されています。さらに漆を塗るための道具から金粉・銀粉、木地まで、あらゆる材料を取り扱うほか、漆工にまつわるノウハウの提供も行われているのだとか。
「昔から漆が盛んだった旧今立町で、“一人一人のお客様を何よりも大切にする”という商いの心を大切にしながら、漆一筋に歩んでまいりました。国内漆の40%のシェアを獲得する最大手の漆屋として、漆の価値を後世に伝えていく義務があると思っています」と箕輪漆行の蓑輪専務は話します。
江戸時代から受け継がれる日本の伝統技法「金継ぎ」
漆の活用方法の一つに、“乾燥すると簡単には剥がれない” という性質を活かした「金継ぎ」があります。これは、小麦粉と漆を練り合わせて割れた磁器を接着する技法で、安土桃山時代から行われていたものだと言われます。
当時朝鮮半島から入ってきた器は、お城と同じほどの価値があると見なされていたのだとか。そんな器が割れてしまったからといって、捨てることはできません。そこで修復のために漆を接着剤として使ったのが、金継ぎの始まりなのだと言います。
「壊れてしまったものを化学接着剤で直すこともできますが、食器に用いるのは抵抗がある方も多いのではないでしょうか」と話す、蓑輪さん。「漆は天然素材ですから、化学的な塗料や接着剤のようなにおいもありませんし、抗菌・殺菌性があって衛生的です。また美しい見た目に仕上がり、工芸的価値を高められるのも漆ならではの魅力ですね」
すぐにでも金継ぎを始められる、便利なセット
今回ご紹介するのは、脈々と受け継がれてきた伝統技法をご自宅で体験していただける「金継ぎセット」です。
「“愛着のあるものを大切にする”という考え方が広まったからでしょうか、ここ10年ほどで金継ぎが少しずつ一般にも普及し、材料のご注文をいただくことが増えています。金継ぎが初めての方にも便利に、気軽に体験していただけるよう、4年前からセット販売を始めました」
金継ぎセットでは、一般的に「平磨き法」と呼ばれる方法で金継ぎを行うことができます。平磨き法では、金平極粉を使用し、金粉の上に塗った漆を磨いて仕上げることで、金の色合いが金属的な質感になり艶のある見た目に。金粉もしっかり定着し、食器として十分な耐久性が得られます。
セットには、漆や金粉といった材料だけでなく筆や手袋、小皿などの道具も揃っています。また工程を詳しく示した説明書も同封されており、さらに困ったときには箕輪漆行の漆アドバイザーによる電話対応を受けられるなど、サポートも万全です。
手間をかけた愛着ある器を、丁寧に末長く愛用する
壊れた器を金継ぎで修復することには、手間がかかります。それでもなおこの伝統技法が長く受け継がれてきた背景には、日本ならではの感性や人生観があるのではと、蓑輪さんは話します。
「根底には、“もったいない” という精神があるはずです。金継ぎによって一つのものを長く使い続けることができ、さらに漆は自然の産物ですから化学素材のように地球環境を損なうこともありません。ものを大切にしたいという思いを持つ方にこそ、“再生” の魅力を知っていただきたいと思っています」
「また金継ぎは、一度ついてしまった傷を隠すのではなく “傷を残したまま再生する、新しく美しいものに変える” という考え方です。これは、過去の傷跡を受け入れて生きていくという人生そのものではないでしょうか。そんな “再生” を可能にする漆の良さを、金継ぎの体験を通して実感していただけたら嬉しいですね」
傷を受け入れ手間をかけた大切な器を、丁寧に末長く愛用する……歴史と技術に支えられた金継ぎの魅力を、ぜひ一度ご自宅で体験してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した企業
株式会社 箕輪漆行 (福井県越前市)
漆掻き職人発祥の地、福井県今立町で天正元年に創業。以来450年にわたり漆の精製と漆・漆工材料・漆器の販売を手がけてきました。漆器屋や仏壇仏具店、文化財の建造物の修復に携わるようなお客様にお選びいただき、現在は国内漆市場において40%のシェアを達成しております。
昔ながらの価値観を大切に残しながらも、現代でも皆さまに漆の価値を見出していただけるよう、今後も漆の魅力発信と “これまでになかった漆” の追求を続けてまいります。
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