株式会社菅野食品（宮城県）

2022.09.01

伝統的なのに新しい味を目指して―仙台味噌焼きそば

宮城県遠田郡涌谷町にある「株式会社菅野食品」の「仙台味噌焼きそば」は、地元名産の仙台味噌を使った珍しい味噌味の焼きそばです。仙台味噌で作った特製ダレと、もちもち食感で食べ応え抜群の二度蒸し麺とのマッチングが楽しめます。伝統を受け継ぎながらも新しい、宮城県ならではの仕上がりです。

伝統の味と技術で新しいものを作りたい

「仙台味噌焼きそば」は、地元名産の「仙台味噌」で新しい商品を作ろうという考えから生まれました。

仙台味噌は、伊達政宗が設置した醸造所の味噌がルーツとなっています。地元仙台では江戸時代初期から仙台味噌が食べられていました。「仙台」という名前が付いているぐらいなので、地元では知らない人はいない味噌です。

しかし県外の知名度はまだまだでは？という思いがありました。また地元で仙台味噌が食べられていると言っても、同商品を開発した当時は仙台味噌を使った加工品はあまりありませんでした。「自社で製造している製品で面白いことができないか」というところから開発が始まりました。

背景として、地元・宮城の味を発信していきたいという気持ちもありました。麺の製造販売に加えて卸売りにも力を入れていくにつれ、首都圏など県外とのやり取りが多くなっていきます。地元の名前を謳えるような特色ある商品を抱えるようになっているところでもありました。

新しい味を見つけるのが好きな方に試していただきたい

仙台味噌焼きそばは、伝統の流れを汲みながら新しい味わいの焼きそばです。食べることが好きで、新しい味を見つけるのが好きな方々に召し上がっていただきたいと考えています。

宮城にはこんなおもしろいものがあるのだと知っていただき、自分でもやってみようかと思うきっかけに。宮城出身で県外にいる方には、地元の味の懐かしさと新しさを。食べた方のひらめき・きっかけになってほしいという気持ちがこもっています。

実はこの商品は現在購入できる場所が限られてしまっています。また爆発的に人気を博したわけではありません。しかし、2012年発売と10年間続く息の長い商品です。それはこの味を気に入っている固定ファンの方々がいるからこそです。

現在はなかなか機会がありませんが、お祭りのような地元のイベントにお店を出して販売していたこともあります。鉄板で味噌の香りを出しながら焼き上げるのです。召し上がった方々からも大変好評で、「どこで買えるのか」と尋ねられることもしばしばでした。食べていただければ納得いただけるとお分かりいただけるのではないでしょうか。

固定ファンの方々のように家庭で楽しむほか、ちょっと新しい宮城の味を試していただきたい方にギフトやお土産として贈るのにもぴったりです。

食べたことのない味噌味の焼きそば

仙台味噌は地元ではほかの味噌と同じく味噌汁などに使われています。辛口の赤味噌で、塩辛さが強いハッキリした味わいが特徴です。近年徐々に製造しているメーカーが限られてきており、希少な味噌となりつつあります。

仙台味噌焼きそばの仙台味噌はもちろん地元で作られたもの。塩角が立ちすぎると塩辛くなってしまうため、甘みを足したりと何度も試作をして味を調整、最終的にこの焼きそば用の味噌ダレの調合を完成させました。

菅野食品は麺の会社です。もちろん麺にもこだわっています。味噌の味が強いため、ふつうの焼きそば用の麺ではタレが絡み過ぎてしまい小麦の風味が感じられませんでした。

試作と検討を重ねてたどり着いたのがもちもちのしっかりとした食感が特徴の二度蒸しです。しかもそのまま使うのではなく、味噌ダレに合うようアレンジを加えました。

太さを試作の末、通常の約2倍の太さに。麺の美味しさも味わえて最後まで飽きの来ない太さを探り当てました。また舌触り・口触り・歯触りを考慮して、断面が四角の角麺を選びました。

このこだわりのタレと麺をよりマッチさせられるおすすめの食べ方があります。

仙台味噌は味が強いと言いました。甘みを足して食べやすくしていますが、ぜひ具を玉ねぎだけで作ってみてください。玉ねぎの甘みで味噌の塩辛さがちょうどよく中和され、バランスよく仕上がります。会社としておすすめの食べ方です。

イベントなどでも具材には肉などは入れず玉ねぎだけで作ります。それだけで勝負という自信があってこそです。

食の探求を通じて積み重ねる努力

同社で新しい商品を開発するときは、営業担当者を中心にスタートし、ほかの社員の方々にも試食してもらい意見を集めてブラッシュアップしていきます。これまでもお客様の要望を聞いてそれを商品化してきました。そのため、最前線でお客様の声に触れている営業担当が開発の窓口となります。

そして営業担当以外の社員にも、やるからには自分の仕事に自信を持ってほしい、自慢できる商品・自信を持って話せる商品だと感じてほしいと考えています。それぞれの立場で、自分が美味しいと納得して商品に関わってもらうためにも、いろいろな部署の社員に意見を求めます。

菅野食品では企業理念に則って、食の探求と創造によって健康で明るい社会づくりと豊かな人生の実現を目指しています。

自分たちだけでなく地域や社会をよくしていけるように、そして日々美味しいものを探求して菅野食品の製品て美味しいと思っていただけるように努力を続けています。

それは細かな積み重ねから始まります。同社の公式サイトに工場内部の写真がありますが、建物も設備も清潔に保たれているのがわかります。食品を扱う場所なので当然かもしれませんが、商品自体にも影響が出てしまうため気を使っているところです。

地元宮城から美味しいものを発信するために、ルーティーンの実務や伝統をこつこつと守りながら創り出される商品の数々。伝統と新しさをあわせ持つ商品の中でも、珍しい味噌味の仙台味噌焼きそばをお試しになってみてはいかがでしょうか。