進まぬ事業継承・乗り遅れたDX/淘汰される「まちの業者」/需要なくM&Aも困難

地方の不動産業者の事業承継が進まないほか、廃業する業者も増加している。 地方の賃貸物件オーナーは投資ではなく、先祖から引き継いだ土地を守るため、固定資産税や相続税の対策を目的に経営している人が都内に比べて多い。バブル全盛の頃の固定資産税は、地方都市とはいえ、現在に比べて高額で、畑などの農地を所有する人は、かなりの平米数を所有するために納税額が高額で支払いに苦労していた。 そのような状況の中、農業協同組合などが主体になってアパート経営を推奨。不動産の知識が皆無でも管理会社を介してアパート経営を継続できるオーナーが増加した。 広い農地は、アパートを何棟も建てられる。税金面から管理会社を設立したほうが、有利な場合も少なくない。そのために、不動産管理会社になったり、名ばかりの不動産取引業者になったりした。「まち」の不動産屋と言われる小規模な不動産会社が増えたのもこのことに起因する。 その時期に建築されたアパートは老朽化し、大規模修繕や建て替えの時期にあり、新築物件に比べ修繕する機会も多くなる。外壁塗装や風呂、キッチン、トイレなど水回りのリフォーム、管理会社にお任せのオーナーたちは、一度も覗いたことのないような修繕箇所の請求書が管理会社からくるたびに、ため息をつき、家族にボヤく。 それを見ている子ども世代は、「大家業は、面倒なことが多くて、サラリーマンの方がまし」と思い、自分がアパートを相続するのを嫌がり、事業承継が進まない。 市場のニーズがあるところに、アパートを建てたわけではなく、相続した土地に建てたアパートなので、投資としての魅力に乏しくM&Aをしてくれる会社もない。そのために事業承継がうまく進まない。 不動産会社が廃業するもう1つの理由は、賃貸業界のDX化についていけないこと。不動産業界のDX化は売買よりも賃貸の方が進んでいる。ウェブ内見予約や申し込み、スマートフォン認証アプリによる物件の解錠など、使いこなせる若者には便利な機能で、時間と人件費を節約できる。 しかし、DXに疎い団塊世代にとってはハードルが高く、頼みの綱となる若手社員がいない比較的規模の小さい不動産会社はお手上げ状態だ。 このように、事業承継する者がおらず、不動産業者が廃業に追いやられる現状は日本全国で起こっている。 大手仲介会社は先に述べたようなDX技術を活用し、優良な築浅物件など
情報元サイト:「週刊住宅タイムズ」
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