株式会社 フルーツガーデンやまがた (徳島県)
牡蠣殻や海藻エキスなどを配合した独自の肥料で育てる「うずしおベリー」―徳島・フルーツガーデンやまがた
徳島県鳴門市で100年ほど続く農家「フルーツガーデンやまがた」。その4代目が独自ブランドとして完成させたのが「うずしおベリー」です。旬の時期に収穫したいちごをシンプルに冷凍したもののほか、カタラーナ、プリン、アイスなどさまざまなスイーツで楽しむことができます。
安心・安全を掲げ、徳島・鳴門で約100年続く農家
徳島県鳴門市は、サツマイモの「なると金時」をはじめ、蓮根、和梨など高品質な農作物が採れる地域です。かつては製塩業が盛んで、温暖な気候にも恵まれていることから農業に適した地と言えます。そこで曽祖父の代から農業を続けているのが「フルーツガーデンやまがた」で、現在は4代目の山形文吾さんが指揮を取っています。
いちごの栽培については、自身の幼少期の体験から再開を決意したそう。
「僕が子どもの頃、いちごの収穫が終わりに近づくと、父が友だちを招待していちご狩りをさせてくれたんです。同窓会のときに『文ちゃん家にいちご狩りに行ったよね』と友人が思い出話をしてくれたことがあって。そんな嬉しい思い出とともにいちごがあったんです。それで、いちごを復活させたいと思いました」と山形さん。
こうして、楽しい思い出とともにあったいちごの高設栽培をいち早く始めたそう。極力農薬を使用せず、人と同じようにサプリメントのような肥料を使うことで、苗の免疫をアップさせ病気にならないような栽培方法を模索。
「手間はかかるし、歩留まりは悪い。それでも『孫に安心して食べさせたい』という思いがあって、チャレンジを続けています。それに、そういう思いは消費者の方にも伝わるだろうし、こちらも自信を持ってアピールできますからね」と、現在のいちご作りに対する思いを語ってくれました。
試行錯誤を繰り返して生まれた独自ブランド「うずしおベリー」
農業1年目の年に始めたいちごの栽培は、期待以上の出来だったそう。
「『農業って簡単だな』と甘くみていたところがあって2年目は失敗。3年目は面積を拡大してまあまあの出来と、成功と失敗を繰り返して10年目くらいに母から『いちごをやめてほしい』と言われました」
収穫量が上がらないと赤字に陥り、せっかく再開したいちご栽培が危機に直面しました。
当時は、西日本で人気の高かった「さちのか」という品種を栽培していましたが、お母様のすすめもあって品種を「紅ほっぺ」に切り替えて最後の挑戦をすることに。
「『さちのか』は誰が作ってもおいしいものができる。やり甲斐のない品種というか……。その点『紅ほっぺ』はそこそこで作ると80点、しっかり手をかけて『紅ほっぺ』に合った管理をすると150点くらい取るんです」と「紅ほっぺ」の可能性を見出した山形さん。
そして、良いと言われることは何でも試したと言い、鳴門の海で採れた牡蠣殻や天然の海藻エキスなどミネラル系をプラスした独自の肥料を与えるように。これらは廃棄物として地域で問題になっていたものでもあり、それを肥料として再利用することでSDGsにも貢献。しかも、いちごの旨味や甘みをプラスしてくれる働きも。さらに他の「紅ほっぺ」と差別化するために、鳴門と言えば渦潮であり、海の恩恵をたっぷり受けたいちごであることから、オリジナルのブランドいちご「うずしおベリー」と命名したのです。
真の6次産業化を目指して本格スイーツを商品化
現在、「うずしおベリー」はさまざまなスイーツに加工され、商品化されています。そのきっかけは2020年のコロナ禍にあったそう。
「新型コロナウイルス感染症の影響で観光客が激減して、売上げも減少しました。対策を求められたとき6次産業化を改めて検討することになりました。けれど、周囲に成功している人はなかなかいませんし、農家の加工品というとジャムしか思い付かなかった」と当時を振り返ります。
そんなとき、県のサポートチームの助けを得て、スイーツ作りに着手。最初に完成したのがカタラーナです。カタラーナはスペインの北東部に位置するカタルーニャ州のスイーツ。カスタードクリームの表面を香ばしく炙ったもので、本場ではできたての熱々をいただいたり、冷蔵庫で冷やしていただくもの。そこに「フルーツガーデンやまがた」では、濃厚ないちごソースとカットいちごをトッピングしています。
「いちご農家ですから、いちごを前面に出していきたいと思いがち。けれどバランスが大事ですよね。こちらの主張ではなく、最後までおいしく食べ切れるものでないと買ってもらえないですから」と、スイーツ作りにおいて大切にしていることを教えてくれました。
現在は自社工場で、パティシエの専門知識を学んだスタッフがカタラーナのほか、プリンやアイス、ジャムなどを手がけています。
食にこだわりのある方に届けたい「うずしおベリー」
「うち一軒だけで作っているものですから、『うずしおベリー』は初めて聞きましたという方がほとんどだと思うんです」と山形さん。
それでも、実は東京・六本木にある会員制レストランや西麻布のお店で提供されていたり、全国展開するフルーツタルト専門店のいちごフェアに採用されたり、食への感度の高いスポットでは着実に知られる存在に。自宅用はもちろん、食を楽しみたい方やこだわりのある方、最新の情報に触れたい方、お料理好きの方などに、そんなエピソードとともに届けたら喜ばれるのでは。
特にギフトやお礼の品として選ぶなら「紅ほっぺ」ならではの鮮やかな赤い果肉が華やかな「うずしおベリーのカタラーナ」「濃厚いちごプリン」がおすすめ。どのアイテムもいちごがおいしい旬の時期に収穫、加工しているので、いちご本来の旨味や甘み、風味をしっかり味わうことができます。
「冷凍うずしおベリー」はたっぷりの容量があるので、自家製ジャムにしたり、スムージーにしたり、普段使いしやすい仕様です。さらにおすすめのアレンジ法を聞くと、
「居酒屋さんに卸しもしているのですが、冷凍いちごを氷の代わりにしてチューハイに浮かべる提案をしたところ好評でした。ご自宅なら、ホームパーティーのときにシャンパンに入れていただくのも良いと思います」と教えてくれました。
今回ご紹介した企業
株式会社 フルーツガーデンやまがた (徳島県鳴門市)
徳島県のなかでも農業の盛んな鳴門市で代々続く農家。その4代目は「孫が安心して食べられるものを作りたい」と、安心・安全な農業の実践に挑戦しています。「うずしおベリー」は同社オリジナルのブランドいちごで、有害な肥料などは一切使用せず、独自に配合した肥料で大切に栽培されています。
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