有限会社 スタジオオカムラ (高知県)

希少なブランド生姜・黄金虚空蔵Ⅱで仕込む「黄金しょうがのジンジャーエール」―高知・スタジオオカムラ

「黄金しょうがのジンジャーエール」は、生産量日本一の高知県産の生姜のなかでも、わずか1%ほどの収穫量と言われる黄金虚空蔵(おうごんこくうぞう)Ⅱを使ったクラフトジンジャーエールです。味の良さはもちろん、摘果みかんを活用したレシピでSDGsの観点からも注目の逸品です。

60年以上続く写真館が活路を見出した地元食材を使った食品事業

教育機関のアルバム用写真の撮影をメインにしていた「スタジオオカムラ」。今から25年ほど前に転機が訪れました。「少子化という現実を考えると、10年後、20年後、続けていられるかわからない。婚礼や成人式、七五三など人生の節目の写真撮影ができるスタジオを構え、力を入れていくことにしました」と営業・開発担当の蔵田克巳さん。

ロードサイドに写真スタジオを建設する際、お客さまに認知していただくための“何か”が必要と考え、現在の社長が前職でパンのチェーン店や全国展開する飲食店の業態開発に従事していた経験からアイデアが生まれました。「週に1度、多ければ2〜3日に1度来ていただける可能性があるベーカリーを併設しようと。ベーカリーをやるなら、しばらく滞在していただけるようにカフェもあったほうが良いということでベーカリーカフェを併設したスタジオを立ち上げることにしました」。

プロジェクトが軌道に乗り、セントラルキッチンを造ったり、店舗の駐車場に良心市と呼ばれる野菜の無人販売所を設けるうち、近隣の農家との繋がりが自然に深まっていったそう。「少子高齢化、一次産業の衰退など、地方の社会課題に対して同じような思いを持っている生産者さんと膝を突き合わせて話をするようになりました」と当時を振り返る蔵田さん。それが「黄金しょうがのジンジャーエール」開発の出発点だったのです。

廃棄されてきた摘果みかんを活用した一流料理人のレシピ

「例えば、温州みかんをメインにした柑橘・みかん農家の場合は、消費量の低下、そして単価の低下という課題がありました。その農家さんは、今後どうなるかわからない、何かできることにチャレンジしたいと思っていたんです」と蔵田さん。おいしいみかんを作るために不可欠な間引き。その摘果みかんは、完熟したものに比べると果汁は少ないですが、中性脂肪の低下や血圧改善などが期待できるヘスペリジンなど有用な成分が豊富に含まれていてpH値が低い。そこで、飲料の保存料・調整剤として活用する方法を模索しました。

注目したのは、今から15年ほど前にブームになっていたジンジャーエール。「高知県は全国の40%以上の生姜を生産しているので、地元の生姜を使いたい。しかも、一般流通しているものではなく、他と差別化できるものとして黄金しょうがを見つけました」。黄金しょうがとは、高知県土佐市で突然変異によって生まれた品種で、正式名称は「黄金虚空蔵(おうごんこくうぞう)Ⅱ」。高知県で採れる生姜のわずか1%くらいで、価格は倍以上もするまさにプレミアムな生姜です。断面は黄色く、辛味が強く、香りが良いのが魅力です。

そこに心強いパートナーが加わりました。「大阪の『帝国ホテル』で副調理長をされていた方とご縁があって、商品開発の指導を受けるようになりました。元副調理長のアドバイスをいただきながら作ったのが『黄金しょうがのジンジャーエール』です」。

誰もが安心していただける「黄金しょうがのジンジャーエール」

「黄金しょうがのジンジャーエール」の原材料は生姜(黄金虚空蔵Ⅱ)、砂糖、摘果みかん(青切りみかん果汁)、シナモン、クローブ、炭酸といたってシンプル。地元の食材を活かし、小規模で作るクラフトジンジャーエールだからこそ余計なものを使わずに作られています。製造法にも工夫があり、単に生姜のすり下ろし汁を使うのではなく、ひと手間もふた手間もかけて生姜を加工して、その持ち味を引き出しているのです。

「生姜本来の辛味、風味を生かした味で、開発当時のままのレシピを今も大切にしています。香料ではなく、生姜本来の味を楽しんでいただけると思います。シナモンやクローブが苦手というお客さまもいらっしゃいますが、『これがジンジャーエールの味だよね』と言ってくださるお客さまも多いです。賛否はあると思いますが、この味を気に入ってくださる方にとってはクセになる味というか……、『黄金しょうがのジンジャーエール』は弊社で最初に商品化したものであり、一番よく売れている商品でもあります」と蔵田さん。

冷やしてそのまま飲むだけでなく、お酒の好きな方にはウイスキーやビールの割材としてもおすすめ。甘みもあるので、お子さんや女性も親しみやすいテイストに仕上がっています。

ホテルやレストランも認める品質、新たな商品作りへの意欲も

「黄金しょうがのジンジャーエール」は、有名レストランやホテルのほか世界的なハイブランドでも採用され、現在では全国各地にファンがいるそう。「生姜感があっておいしい」「食事をしながらいただいても違和感がない」という声が寄せられています。さらに、高知県の経済活性化を目指し、県内で作り出された地場産品や地場産業の振興に貢献した活動を表彰する高知県地場産業大賞で「地場産業賞」を受賞。消費者からも地域からも高い評価を得ています。

「今後も地域の生産者さんとの共創により、新たな商品開発をしていきたい。田舎の、特に一次産業に従事されている皆さんの所得が上がる仕組みを作っていきたい」。そして、不要なもの、捨てられるもの、使い終わったものなど価値がないものとして考えられてきたものを活用する方法を考えたいと言います。「今ならSDGsと言われますが、田舎では昔から当たり前のようにやってきたことだと思うんです。『黄金しょうがのジンジャーエール』に使用している摘果みかんの量は限られています。今は使用量の多い新たな商品開発など、次のステップに向かっているところです」と力強く続ける蔵田さん。地元の食材を活かした次なる加工品の誕生に期待が高まります。

今回ご紹介した企業
有限会社 スタジオオカムラ (高知県高知市)

写真関連事業から始まり、ベーカリーカフェの運営、食品加工まで手がける「スタジオオカムラ」は、地元では「はるのテラス」の名で知られています。地域が抱える課題解決のために、信頼する生産者と二人三脚で商品作りに取り組んでいます。「黄金しょうがのジンジャーエール」のほか、スイーツや調味料なども開発・販売。

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