有限会社 原野製茶本舗 (福岡県)

奥深くも楽しいお茶の魅力の世界への入口に―きなこ大豆

「きなこ大豆」は、ていねいに煎った国産大豆を国産きな粉の層で包み込み、口どけふんわり・歯ざわりサクサクに仕上げた豆菓子です。プレーンの「きなこの実」に加え、表面を抹茶・焙じ茶でコーティングした「抹茶の実」「焙じ茶の実」をご用意。それぞれきな粉の香ばしさと抹茶のほろ苦さ・焙じ茶の香りを楽しめます。

新しさを生むさまざまなコラボレーション

「食の展示会に出展することがあるのですが、そういう中でほかの事業者さんとコラボレーションの話が進むことがあるんです」

原野製茶本舗の原野さんは言います。

もともとお茶の製造と販売からスタートした同社。自社で小売りもしています。そして自社店舗で販売する商品として、加工食品も製造しています。他社との出会いが、そんな加工食品を作るきっかけとなることもあるのだそうです。

「きなこ大豆」の「抹茶の実」「焙じ茶の実」もその一つ。豆菓子屋さんと知り合う機会があり、そちらのきなこ大豆をもとにお茶味の豆菓子を作るに至ります。2018年のことでした。豆屋さんと知り合ったときほかのお店の商品も試食しましたが、知り合った事業者の商品が一番美味しかったのだそうです。

自社サイトで販売している「大人の金平糖」も出会いから生まれました。現在は機械で作る金平糖が大半ですが、職人さんが手間暇かけて作った金平糖に、贅沢にたっぷりの抹茶とほうじ茶パウダーをかけた商品です。

そのほか玉露を使った高菜や、玉露を使った焼きあごだしなどがあります。だしはニッポンセレクトでも販売していますが、玉露の茶葉の効能で魚の臭みを取り、まろやかな味になるそうです。どうせ入れるなら八女で有名な玉露をと、産地ならでは贅沢に加えています。

このように、同社はさまざまな事業者と自由な発想でコラボレーションしています。お茶はもちろん、ほかの商品も手掛けることによって、違う角度からお茶に結び付けられればと考えているそうです。

贅沢なコーティングができるようになるまで

しかしコラボで新しい製品を作るときも、単純な足し算では納得のいく商品にはなりません。「抹茶の実」「焙じ茶の実」も試行錯誤を重ねることが必要でした。

もととなるきなこ大豆が美味しいのはすでに話した通りです。しかしその表面にお茶をコーティングするのに、なかなかうまくお茶が付きませんでした。

トライアンドエラーを繰り返し、大きく見ると2つの点を工夫することで解決したといいます。

抹茶の実・焙じ茶の実は、通常の抹茶よりも細かい粒度のパウダーを使っています。粒子の大きさで付き方が違うのだそうです。しかし細かければいいというものでもなく、細かすぎると逆に付きが悪くなります。試行錯誤を重ねてほどよい細かさを探り当てたといいます。

さらにコーティングする方法です。機械を使ってボウルで混ぜてみたりもしましたが、袋を使って手作業でまぶすのが結局一番くっつきがよかったのだそう。そのため今も人力で作業しています。

また充填も、機械だとせっかくコーティングしたパウダーが削れて剥がれてしまうのだそう。抹茶も焙じ茶もふんだんにパウダーをコーティングしています。せっかくのパウダーが剥がれないように、充填も手作業です。袋から出してもしっかりパウダーが付いているのには、こんな細かい努力の積み重ねがあったのです。

「きな粉とパウダーが混ざると、きな粉とお茶の香りが合わさってすごくいいんですよ」

原野さんは目を細めます。

お茶作りのこだわり・お菓子作りのこだわり

しかしそもそものお茶作りがおざなりではコラボレーションも成り立ちません。同社がコラボ先として選ばれるのも、こだわりのお茶作りを続けているからこそです。

まず全てのおおもととなる茶葉は、玉露の産地・福岡県の中でもとくに品質で名高い奥八女産の八女茶です。お茶は「荒茶(茶葉を蒸してもんだ状態)」を仕入れて自社で仕上加工から特に大事な「火入れ(焙煎)」を行います。

葉も茎もまとめて火入れをしてしまうところが多いそうですが、同社では香りが出やすい部分・味が出やすい部分を分けて焙煎しています。葉が厚いところなどは強めに火を入れて香りを出すなど、素材に合わせてていねいに作業しています。

お菓子に使うお茶も、飲むお茶と同じです。抹茶は製法が違うのですが、やはり細かいところまで気配りをして作られています。

そしてお菓子作りの工程もお茶と同様にこだわっています。メインのお茶の片手間などではありません。それはすでに見た通りです。おかげで抹茶の実・焙じ茶の実も開発に苦労したけれどもいい商品ができました、と原野さんは言います。

ピーナッツなどを抹茶チョコでくるんでいるお菓子は見かけますが、きなこ大豆にお茶がかかっているのはあまりありません。美味しくて体にもいい大豆のお菓子ができて、弊社の目指すお菓子作りを形にできました、と。

「なんせ手がかかる商品ではあるんですが」と笑います。

手作業のため製品の均質化にも気を配り、一度にまとめて作ることなく目の届く範囲でしっかり計量しながら少しずつ作っているそうです。

お菓子をきっかけに奥深いお茶の楽しみの世界へ

もちろんお菓子を楽しむだけでも十分なのですが、飲み物としてのお茶の魅力にも気付いていただけると嬉しいと原野さんは言います。お茶の魅力にまだ気づいていない方や抹茶のお菓子好きな方に、お茶好きになってもらってもらいたいという気持ちがあるそうです。

抹茶の実は最後に茶葉をコーティングしている商品なので、味も見た目も抹茶の風味・色が直に味わえる商品との自負があります。一般には抹茶の商品は着色料を使わないとキレイな色が出ないので、添加物なしで作るのが大変な繊細なものです。

抹茶の実で抹茶本来の風味・うまみを知っていただいて、こんなに美味しいんだとお茶の方にも興味を持っていただきたい、と。

焙じ茶は鼻から抜ける香ばしさがはっきりとしており、インパクトがあります。焙じ茶のお菓子は世間ではまだ種類が多くありませんが、同社では女性中心に人気が出てきていると言います。

きなこ大豆を購入されているのは40~50代の女性が多いそうです。お茶を飲む習慣のあまりない20代・30代の方々にも試してほしいと話します。

本業はお茶屋なのでメインはお茶ですが、お菓子もお茶と同様に「健康に美味しく」着色料・添加物を極力使わずに味はもちろん色味や見た目にもこだわっています。抹茶・お茶を身近に感じてもらえて 是非一度食べていただければ、と最後まで控えめに原野さんは話してくださいました。

商品のご紹介

今回ご紹介した企業
有限会社 原野製茶本舗 (福岡県八女郡広川町)

創業1955年、高級茶の産地として名高い八女茶とお茶を使ったお菓子・加工食品の製造販売を行っています。1993年に小売り販売もスタート。百貨店や駅への卸販売も行っています。茶葉は八女の山手の茶農家と専売契約を結び、目の行き届いたお茶を丁寧に仕上げています。あらゆる点で手抜きなしの誠実なお茶作り・お菓子作りを続けています。

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