竜王ふなずし工房 (滋賀県)
奈良時代から続く滋賀伝統の特産品「天然ニゴロ鮒寿司」を守りたい―滋賀県・竜王ふなずし工房
琵琶湖で獲れた天然ニゴロ鮒を使った、奈良時代から受け継がれる滋賀県伝統の珍味「鮒寿司」です。塩漬けにしたニゴロ鮒をさらに自家生産のお米に漬け込み、およそ1年かけて熟成し仕上げています。酒の肴として、またお茶漬けやご飯のお供として、ぜひお楽しみください。
琵琶湖の固有種 ニゴロ鮒を使った地域の伝統食「鮒寿司」
1,000m級の山々や大小さまざまの河川をはじめとした豊かな自然に囲まれた地、滋賀県。
その中央に位置する日本最大の湖・琵琶湖は、支流を含めて500本ほどの河川が注ぎ込み、さらに周辺には砂浜や岩場など多様な水環境があることから、数多くの魚や貝、プランクトンなどが生息する “生き物の宝庫” として知られています。中には、長い歴史の中で生き残った琵琶湖にしかいない種=固有種も多く存在するのだとか。
そんな琵琶湖の固有種の一つである「ニゴロ鮒」を使った滋賀県の特産品が、「鮒寿司」です。鮒寿司は、琵琶湖で獲れたニゴロ鮒の鱗や内臓をとって3〜4ヶ月塩漬けにした後、炊き上げたご飯を重ねて漬け、自然発酵させて作られます。
一説では、鮒寿司はアジアから伝わった熟れ寿司(魚を塩と米飯で発酵させた食品)の一種で、一時期に大量に獲れる鮒を保存するための方法として定着したと言われています。滋賀県では古く奈良時代から特産品としてこの鮒寿司が作られ、朝廷に献上されていました。
さらにその後も鮒寿司は地域の人々にとって身近な存在であり続け、お正月にお客様をおもてなししたり、お祭りの日やお盆などで親戚一同が集まったり……そんなハレの日に欠かせない地域の伝統食として愛されてきたのです。
「奈良時代から続く特産品を後世へ」鮒寿司の製造販売を手がける竜王ふなずし工房
昔は一般家庭においても漬物と同じような感覚で漬けられていた鮒寿司ですが、時を経て土間のない集合住宅が増えた今では、このような習慣が失われつつあります。さらに昨今地球温暖化や外来魚などの問題によって琵琶湖の環境は変化し、かつてと比べて天然のニゴロ鮒も減ってきてしまっているのだとか。
そんな変容を背景に、滋賀県ならではの伝統的な珍味「鮒寿司」を守ろうと取り組んでいるのが、滋賀県蒲生郡竜王町にて平成15年創業の、竜王ふなずし工房です。
「地域の特産品として鮒寿司がずっと愛され続けて欲しい」「県外から訪れた方にも食べてみてもらいたい」との思いで、琵琶湖の漁師から直接仕入れた天然のニゴロ鮒を主原料とする鮒寿司を製造。創業当時 竜王町に誕生した道の駅において、販売をスタートしました。
さらにこの伝統文化を後世に伝えるべく、竜王町内の調理実習室を借りて「鮒寿し漬け込み体験」などの取り組みも行われているのだといいます。
シンプルだからこそ、品質にこだわって厳選した素材を使う
竜王ふなずし工房ならではのこだわりの一つは、素材にあります。
鮒寿司の主原料となるのは、地元・琵琶湖で獲れる天然二ゴロ鮒です。他種の鮒が用いられる場合もありますが、身のやわらかさと口に入れたときの風味のよさを重視し、二ゴロ鮒を主原料として選んでいるのだとか。仕入れた二ゴロ鮒は、新鮮な状態でその日のうちに処理し、塩漬けにします。
また塩漬けした鮒と混ぜ合わせるお米には、自家生産の「環境こだわり近江米」を使用。農薬や化学肥料を通常の半分以下にまで減らして育てた安心安全の美味しいお米で、じっくりと鮒を熟成させていきます。
さらに調味料となるみりん・酒・酢も、「これを使っているからこそ美味しく仕上がる」と思える質のよいものが厳選されているのです。
こうして選び抜いた地元の素材を使って作られた鮒寿司は、真空状態に加工して美味しく新鮮な状態でお客様のもとに届けられます。各ご家庭で召し上がりやすいように一口サイズにスライスされ、食べきりセットになっているのも嬉しいポイントです。
初めての方でも食べやすい、マイルドな酸味と塩辛さが魅力
道の駅で販売開始となった竜王ふなずし工房の「天然ニゴロ鮒寿司」は、手軽に地域の味が楽しめるとして当初から人気を博し、さらに通信販売で県外のリピーターの方も増加。伝統の鮒寿司を守りたいという創業当初の思いを実現し、さまざまな地域で多くのお客様に喜ばれています。
そのお味の特徴は絶妙な塩辛さと酸味にありますが、マイルドな味わいに仕上げられているため、鮒寿司を食べるのが初めての方でも親しみやすくなっているのだとか。またどこかチーズのような風味が感じられるのは、発酵食品ならではの特徴と言えるでしょう。
日本酒や焼酎によく合うため、日常でお酒を楽しむ際のおつまみとしてもピッタリですし、ご飯の上に鮒寿司の切り身をのせ、熱いお茶をかけても非常に美味しく召し上がっていただけます。
滋賀の地に古くから伝わる伝統の味と地域産業を守ろうと奮闘する人々に思いを馳せながら、日常の食卓に “特別感” を添えてくれる一品として楽しんでみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した企業
竜王ふなずし工房 (滋賀県蒲生郡竜王町)
平成15年の創業以来、滋賀県の特産品「鮒寿司」の製造・販売を手がけてきました。琵琶湖で獲れた天然のニゴロ鮒や自家生産の近江米、厳選した調味料を使ってこだわりの鮒寿司を作るとともに、この伝統を守るべく「鮒寿し漬け込み体験」も行っております。奈良時代から受け継がれる伝統の味わいをぜひお楽しみください。
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