株式会社 キシモト (愛媛県東温市)

新感覚の干物―骨までやわらか干物「まるとっと」

「まるとっと」は、頭から尻尾まで余すことなくすべて食べられる新感覚の干物です。焼き上げたあと高温加圧することにより、骨も頭も身と同じぐらい柔らかくなりました。ご高齢の方や小さなお子さん、魚を敬遠していた方からカルシウム不足が気になる方まで、あらゆる方が美味しくいただけます。

美味しい干物を作るため山のふもとへ

キシモトは、愛媛県東温市にある干物を製造販売している会社です。東温市は松山市や今治市に接した中予地方に位置しています。そして地図を見ていただくとわかるのですが、海に面していません。愛媛県の市では唯一なのだそうです。

しかし同社は、美味しい干物を作るために敢えてこの東温市を選びました。四国の最高峰石鎚山を近くに臨む環境です。

石鎚山は、伏流水の1つ「うちぬき」が日本名水百選に選ばれ、1995年には全国利き水大会で日本一に輝いたほどの名水の地。干物づくりにはやはりきれいな水が一番ということで、水にこだわり石鎚山のふもとに工場を構えました。石鎚山の山麓から湧き出る地下水で干物作りを続けています。

もちろん水がよくても肝心の魚がよくなくては美味しい干物はできません。原料はほぼ国内産、しかも旬の時期に取れたもの。脂質や鮮度をチェックし、厳しい基準をクリアした魚だけをまとめて仕入れています。

そして製法にもこだわりがあります。低い温度でじっくり乾燥させる「低温乾燥」を採用。低温乾燥は高温乾燥に比べ、うまみ成分のイノシン酸がしっかり残って美味しくなります。時間がかかり能率の悪い方法ですが、いいものを作るため低温乾燥で製造を続けています。

さらに、ほとんどの工程を手作業で行っています。魚の中には、重さが基準以下だったり、商品として使えなかったりするものもあります。手に取って目で確認しながらベテランの職人さんを中心に手仕事で製造しています。

1年半で1万尾試食・まるとっとができるまで

こつこつと美味しい干物を作ってきた同社。10年ほど前、愛媛県から1つの連絡が入ります。

大学生が高齢者施設を訪問したときに、入所者の方々から「魚が食べたいが骨があるので中々食べさせてくれない」ということを聞きました。その願いをなんとか叶えてあげたいという想いから、学生たちは愛媛県に話したそうです。それを受けた県から、骨を軟化する技術があるので共同開発してみませんかと打診があったのです。

柔らかくする技術があったとは言え、商品化までは本当に大変でした。約1年半の時間を費やします。専務が中心となってまるとっとの開発に取り組みました。

骨を柔らかくするためには高温で加圧します。そのまま食べても美味しい干物ですが、それを真空パックしてさらに100℃以上の蒸気と圧力をかけます。

骨ごと食べるためには、骨と身を同じぐらいの柔らかさで食べられるまで調整しなくてはなりません。さらに柔らかければいいというだけではありません。美味しくなければ意味がないため、味やにおいも大切でした。

1年半の間、開発までに実験に使ったあじは1万尾。試食するだけでも大変です。しかも少しずつ条件を変えているので、より美味しいのはどれかを考えながらの試食です。

そうして膨大な試行錯誤の末、とうとう納得のいくものが完成しました。

骨まで食べられる新感覚干物の完成

苦労のかいあって完成した、骨まで食べられるまるとっと。想像以上に「骨まで食べられる」かもしれません。

小骨だけでなく中骨も食べられます。そして頭も食べられます。尻尾も食べられます。つまり全部食べられます。耳石(じせき)や目玉など軟化できない部分は、真空パックする前にすべて取り除きます。柔らかく食べられるところだけしか入っていないので、当初のコンセプト通り骨が心配なご高齢の方や小さなお子さんも安心して美味しくいただけます。

実は販売当初は、骨までまるごと食べられるということが斬新でなかなか浸透しませんでした。しかし販売を続けていくうちに商品の良さが伝わっていき、現在では多くのファンを獲得しています。

骨や頭ごと食べることでカルシウムをたっぷり摂取することもできるため、カルシウム不足が気になる方のリピートも多いそうです。

1分レンジすれば食べられるので、あと1品というときやちょっとお酒の肴が欲しいときにもぴったりです。もちろんそのままいただいても美味しいですし、素材としてアレンジしても使いやすく美味しくいただけます。

常温で保存できますし、冷蔵・冷凍するならさらに長期間の保存が可能です。さらにフードロスを大幅に減らすことができるSDGsにも沿った商品となりました。

一枚一枚手作業で、本当に手間がかかる。時間もかかる。作ることができる量にも限りがある。それでも、多くの方々に味わってもらいたいと価格はできるだけ抑えています。

今までもこれからも変わらない美味しい干物作りへの思い

実は、キシモトは一度会社をたたんでいます。しかし「また干物を作りたい」という現会長と専務の思いが、会社の再興に向かわせました。

それまで以上にいい製品を作ることを心がけて、あらためて干物づくりに向き合いました。試作を繰り返したり手作業にこだわったりすることは、その気持ちの現れです。その姿勢が伝わっていったおかげで、まるとっとの開発にも声がかかりました。

また、いい製品を作るという姿勢に加えて新しいことにもチャレンジしています。2020年3月には「スペースまるとっとアジ」が、干物としては日本初となる宇宙日本食に認定されました。

宇宙で食べることを念頭に、干物よりも水分を極限近くまで減らしています。また味付けも、外国の方にも食べやすいよう燻製の風味を付けました。宇宙飛行士はカルシウム不足になりがちなので、その解消ができるという点でも評価が得られています。

さらに、愛媛県の養殖の鯛とブリを使った「混ぜご飯の素」も開発。切り身と中骨をぶつ切りした商品で、固い鯛の中骨も食べられるようになっています。これはまるとっとの技術を応用しており、まるとっとの開発が次の商品開発へとつながっています。

キシモトではこれからも美味しい商品作りに励んでいきたいと考えています。まずは看板商品「まるとっと」を試してみてはいかがでしょうか。

商品のご紹介

今回ご紹介した企業
株式会社 キシモト (愛媛県東温市)

1966年開業。名水の地として知られる石鎚山のふもとにある「山のふもとの干物屋さん」として、魚の干物をメインに製造販売する水産会社です。こだわりと経験・客観的なデータをもとに、看板商品の骨まで食べられる新感覚の干物「まるとっと」と一般的な「グリルで焼く干物」との2種類を提供しています。

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