有限会社 水島食品 (京都府)

「衝撃のごま」がつなぐ人と人―「ごまふりかけシリーズ」

古都・京都の地にあって400年の歴史を持ち、「京の台所」と呼ばれる錦市場。「水島食品」は、その中に20年ほど前から珍味・おつまみの専門店「櫂」を構えています。

同社の「ごまふりかけシリーズ」は、ごまに7種類のフレーバーをコーティングした商品。2021年に「おもてなしセレクション」金賞を受賞、口の中で崩れるような食感を活かしつつご飯がすすむ風味をプラスした、驚きすら感じる商品です。

「好き」と「錦市場」という立地から生まれたごまふりかけ

「ごまふりかけシリーズ」は、同社の代表である水島さん個人の「好き」と、「錦市場」という立地の現実的な理由とが組み合わさって誕生しました。

平安時代にはすでに市が立っていたらしいという錦市場には、100年単位の歴史を持つお店が軒を連ねています。水島食品は、錦市場にお店を出した20年ほど前は珍味とおつまみをメインに取り扱っていました。しかしすぐ近くに同じ商品を扱うような珍味のお店があったそうです。

品ぞろえをずらしたい。何がいいか考えました。小さなころからごはんやふりかけが好きだった水島さん。そこでごまふりかけシリーズの1つ「ごまかつお」を販売するように。お客さんにも大好評で、取り扱うふりかけの数を増やしていきました。ちなみに、「ごまかつお」は今でも同シリーズ中一番人気の商品だそうです。

当時の錦市場は、プロの料理人が食材を買い求めるちょっと敷居の高い商店街。そこで、ごはんに合うのはもちろん、料理にも使えて一味プラスできるようにごま自体に味をつけたふりかけがいいのではという考えもあったそうです。

ふりかけは子どもが好きなものというイメージがあるかもしれません。そこで大人も楽しめるようにと、既存の商品に加えて「ごまゆず胡椒」など大人向けの商品も開発・追加していきました。

外国人にも愛される、京都発・ごまのふりかけ

プロの料理人が集まる商店街だった錦市場も徐々に観光地化が進み、若い人や外国人などの観光客が多くを占めるようになります。おのずと購入される方にも変化が。水島さんは、「ふりかけを知らない外国の方にこそ食べてもらいたい」と話します。

もちろんどなたにも食べていただきたい。ごまは健康によいと多くの人はわかっているけれど、家にあっても毎日は食べない。毎日食べやすいスタイルとしてふりかけを食事に取り入れて、健康に役立ててほしい。そのうえで敢えて言えば、ごはんにかけて食べる方法を知らないような方に美味しさを伝えたい。そうおっしゃいます。

実際、たとえば台湾の方は京都訪問のリピーターが多く、中には年に数回来店する方もいらっしゃるそうです。海外の方はごはんのほか、サラダや肉料理・豆腐などにかけて和風にアレンジするのを楽しんでいるといいます。

「実はごはんに一番合うんですけど」と笑いながら前置きして、「できればそうやって料理にも使ってほしいんです」と微笑みます。

お店にやって来るお客さんは、自分用や気取らないお土産として購入していくのだそうです。そしてお土産をもらった人が「美味しかったから」と自分用にお取り寄せしながら、またほかの人に配ってくれるといいます。ごまふりかけによるつながりが自然に生まれています。

衝撃的なごま体験を伝えるために

お店では、店頭で試食販売をしています。とくに休日は多くの人であふれかえる錦市場。試食しても、人の流れに押されるように通り過ぎていってしまう方も。しかし離れてから戻ってくることがよくあるそうです。まさに「ん!?」と思わせる「衝撃のごま」だからこそです。

しかし、実はごまに味をコーティングするのは難しく、商品化には苦労したそうです。試作時は、味がうまくつかず定着もせず、工場とともに何度もやり直しをして試行錯誤を繰り返したといいます。

試作に試作を重ね、苦労のかいあって商品はとうとう完成。7種類あるフレーバーのうちあとから開発した2種は、ほかの味も試作した中でとくに美味しかった「ごまゆず胡椒」と「ごま三彩」を採用したんだそう。

口の中で崩れる食感と味。「擂(す)って食べた方がいいの?」とよく聞かれるそうですが、「歯で崩れるので大丈夫ですよ」と答えるといいます。とくに「ごまかつお」はカリっとする食感があり、その食感や香ばしさを楽しんでほしいとのこと。

同時に水島さんは「よそさんの商品と大差ないと思うんです」と冗談っぽく笑います。「どこも美味しいですからね」と。

確かにそれぞれにファンがいるのは事実。しかしたくさんの方が「水島食品のごまふりかけでないと駄目」とリピーターになっています。「おもてなしセレクション」の金賞だって、美味しいからこそ選ばれたはず。

すると言葉の真意を教えてくれました。「美味しいのは当たり前なんです。プラスアルファが必要で。うちは『錦市場』のブランド力もありますが、スタッフの接客に力を入れています。うちはね、スタッフがいいんですよ」

来店する多くの外国のお客さんにしっかり魅力を伝えるために、スタッフには外国からの留学生を数多く採用。「錦市場にあるあの子がいるお店」と言われるような接客をしてほしい、と常々話しているそうです。実際、お客様の声を見ると「店員さんがすごい元気」「呼び込みの女性の方が上手」などの文字が並びます。

ぜひお店に来てほしい

接客に力を入れているというなら、お店に行ってみたいと思いませんか?

「店舗にまず来てほしいです」

実際、水島さんもそうおっしゃいます。20年お店を続けてきて、スタッフに対する想いは強いと話します。商品を気に入ってもらうには、魅力が伝わる説明が必要です。そしてお店を気に入ってもらう必要もあります。それには、スタッフのことを気に入ってもらうことが欠かせません。

スタッフに気持ちよく働いてもらうために働きやすい環境づくりを大切にしています。フランクに軽口をたたき合えるような関係で、スタッフみな仲がよいそうです。楽しく仕事ができるとよい接客ができて、結果お客さんのためになっています。

親友の話をするような口調でスタッフの話をしてくれる水島さんのお話を聞いていて、人がつながるお店という場が本当にお好きなんだろうなあ、と感じました。

驚くような商品、ワクワクする陳列、スタッフによる試食やおすすめの声かけ、そこから始まるコミュニケーションや人とのつながり・楽しい体験。そして気に入ってくれたお客さんが広げてくれる新しいつながり。

さらに、広がっていくだけでなく「こうやって食べたら美味しかったよ」という新しいアイディアのフィードバックもあります。外国の方のアイディアは、きっと逆輸入のように自社の・日本のふりかけの新たな魅力に気づかせてくれるのでしょう。

ワクワクを提供することでワクワクが返ってくる楽しさ。ふりかけがつなぐ人と人。軽々と国境を超えていくつながり。嬉しそうに・楽しそうにお店の話をする水島さんの言葉を聞いていると、活気のあるお店とそこから広がる世界が目に浮かぶようでした。

ぜひ機会があれば、楽しい体験とつながりに溢れた活気あるお店を訪問してみてください。まずはごまふりかけをいただきながら、錦市場に想いを馳せてみようと思いました。

今回ご紹介した企業
有限会社 水島食品 (京都府京都市中京区 )

京都市中京区の「錦市場」にてふりかけ・珍味のお店「櫂」を経営。お店では「ごまふりかけ」のほかにも、「たこたまご」など確かな目利きで1つずつ集めた商品を取り扱っています。商品はどれも興味を惹かれるものばかり、目を引く陳列は楽しく味もハズレなしと評判です。はじめてでも商品の説明やおすすめの食べ方の提案など、スタッフから詳しい話を聞くことができます。毎日地元の方・観光客の方・そしてスタッフのみんなでにぎわう楽しいお店です。

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