株式会社 哲多すずらん食品加工 (岡山県)
地元の食材を目の届いた作り方で提供―岡山 和牛丼
岡山県新見市にある株式会社 哲多すずらん食品加工の「岡山 和牛丼」は、地元新見市発祥のブランド和牛「千屋牛」を使用した牛丼です。まだご当地のレトルト食品が珍しかった頃に発売開始し、25年以上ご愛顧いただいているロングセラー商品。すき焼き風に調理した千屋牛の美味しさを堪能できる商品となっています。
日本最古のブランド牛「千屋牛」を広めたい
「千屋牛(ちやぎゅう)」というブランド牛があります。岡山県新見市で生まれ、和牛の血統の元祖「竹の谷蔓」の流れを受け継ぐ黒毛和種のブランド牛です。松阪牛など著名なブランド牛にも負けない肉質で、ほどよい霜降りと赤身が特徴です。ブランド和牛の元祖とも言える存在ながら、飼育頭数が少なく希少な牛となっています。
この千屋牛をもっと全国の方々に知ってもらいたい。地元産の食材から加工食品を製造・販売していた哲多すずらん食品加工の「岡山 和牛丼」はそんな思いから誕生しました。
設立当初から同社は地元のものを使って地元を興していこうという考えから、地元の食材を使って味噌やゼリー・ジャムなどを製造・販売していました。全国に広めるため、千屋牛は流通性が高く保存のきく商品にすることと決めます。1994年のことです。
そうして賞味期限が長く保存のきくレトルトパウチ食品として、千屋牛の商品の開発が始まりました。現在ではレトルト食品メーカーとなった哲多すずらん食品加工の、最初のレトルトパウチ食品でした。
定番のカレーなどでなく、まずは独自性のあるもの・ご当地物としては珍しいものを目指してメニューは牛丼とします。さらにすき焼き風の味付けとすることで、一般的な牛丼とも差別化を図りました。
商品化まではトライアンドエラーの繰り返しでしたが、開発時に完成させた味は今もほとんど変えていません。25年以上ご愛顧いただいているのでうまくいったと感じています。
贈り物をお探しの方にも地元の方にも千屋牛の美味しさを
ブランド和牛を素材としている以上、どうしても単価は高めの設定となります。そのため、ごちそう感・ごほうび感のある贈り物としてよく利用されています。とくに多いのは親元を離れて暮らすお子さんやお孫さん向け。美味しいものを贈ってあげたいという思いに応える商品となっています。
レトルトというので安売りしているようなものを想像したら、高級そうなものが入っていて食べたら美味しかった。そんな声が届きます。さらには、もらって美味しかったから今度は買いたいというお問い合わせも多々あります。
また地元の若い方にも、地元の食材でこんな美味しいものができるのだと思ってもらいたいと考えています。そのためギフトの形のほかには、近辺の道の駅・直売所関係・一部のスーパーなど地元岡山で販売しています。
千屋牛は地元でも美味しい肉として知られていますが、先ほども述べたように量が出回らない希少価値の高い牛肉です。頭数を増やす施策をしているものの、なかなか流通が追いつかず生の肉は地元以外ではあまり手に入りません。そのためレトルトにすることで流通しやすくして、全国に伝えていこうという気持ちもあります。
岡山のものを発信しているという意識で提供しているので、初めての方でも千屋牛を確かめてみてほしいと考えています。
理想の「美味しい・安全」が形になるまで
この和牛丼は、「美味しい・安心」の2点が形となった商品です。しかし完成に至るまでは、試行錯誤を何度も繰り返す必要がありました。
レトルト化するときには、普段の調理ではありえない温度・圧力がかかります。そのためレトルト加工の工程を行ってみないと、味も見た目もどのような感じになるかわかりません。素材選びや調理方法・味付けなどを決めるにも、その工程を試す必要があります。
当然のことですが、千屋牛の魅力を伝えるためには何よりも味が美味しくなくてはいけません。「すき焼き風の味付けで行こう」というコンセプトが決まってからも、味を決めるには試作を繰り返しました。
肉はもちろん、ほかの食材は何を組み合わせるか。素材の組み合わせを決めてからも、それぞれの素材の味・食感の変化はどうか。1つひとつ吟味しました。
さらにそのまますき焼きの味付けにしただけでは、レトルト加工したあとも美味しいとは限りません。保存しても美味しさをキープできるのかという問題もあります。
また、味に加えて「安全」という側面でもこだわりました。開発当時はまだ人工的な調味料や着色料を避ける傾向はそれほど強くありませんでしたが、できるだけ添加物は使わずに自然な味わいを目指しました。
味と安全を両立させるよう何回も試してみて、ようやく添加物を使わず美味しいと思える商品が完成しました。そのときの味を変えなくても25年のロングセラーとなっているのが完成度を物語っています。
時間と手間がかかっても社員全員で意見を出し合う理由
そしてその試行錯誤は、社員皆で行いました。今新製品を開発するときも同じです。
お互いの顔が見えるような人数の会社だということもありますが、社員全員で味見します。何を足したらいいか・どれがいらないかなどお互い意見を出し合います。大人数ではないとは言え人数分の意見が出るので、皆が納得いくところまで意見をまとめていくのは大変な作業です。
それもあり、どうしても時間がかかります。どの商品も時間と労力をかけて、味からパッケージのデザインや文言まで意見を出し合って完成させます。どの商品も完成まで少なくとも半年はかかります。
それでもこのスタイルを崩すことはありません。自分で試食して自分で意見を出していく。社員が皆そういう意識を持っています。皆がバラバラのことをしても成り立ちません。それは商品開発も同じです。
全ての商品について全員が開発から意見を出して、最終的に自分でもゴーサインを出しているわけです。思い入れも違えば、商品の理解度も違います。製造にしても営業にしても、どんな味なのか開発段階から知っておくことはいいことだと考えています。
そして社員の誰もが、喜んでもらえるものを作りたいという気持ちで取り組んでいます。美味しくて当然、さらに地元のものを使う・国産にこだわる・添加物を極力減らすなど付加価値を付けて満足していただける商品を目指しています。
隅々まで目の行き届いた温かい作り方で作られている同社の商品を試してみてはいかがでしょうか。
今回ご紹介した企業
株式会社 哲多すずらん食品加工 (岡山県新見市)
1988年創業。餅・味噌・ゼリー・ジャムなどの製造販売を行う会社としてスタート、今はレトルトパウチ食品専門に事業を展開。創業から今に至るまで、素材は地元のものを中心に県内・国内にこだわって使用。SDGsに対応した商品開発など、時代のニーズに応える商品開発を続けています。
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