ASEANの貿易統計(7月号)~5月の輸出は自動車輸出が回復するも前年割れ続く

2023年5月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比4.9%減(前月:同17.7%減)と減少幅が縮小したものの、3カ月連続の前年割れとなった(図表1)。輸出の基調は昨年半ばまでコロナ禍からの回復や商品市況の高止まりにより好調が続いたが、その後は欧米を中心とした外部環境の悪化や資源価格の軟化により増勢が鈍化し、11月以降は減少傾向が続いている。5月はIT製品輸出が依然低迷したままだったが、自動車輸出が回復するなど一部で明るい動きもみられた。輸出の先行きは中国の経済再開による恩恵を受けて徐々に上向いていくものの、当面は金融引き締めの影響により欧米経済が減速するため持ち直しの動きは限定的となりそうだ。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、東南アジア向けが同14.2%減(前月:同22.3%減)と大幅な減少が続いた(図表2)。一方、北米向けが同6.4%減(前月:同17.7%減)、EU向けが同0.3%減(前月:同15.3%減)、東アジア向けが同5.5%減(前月:同16.2%減)となり、それぞれ減少幅が大きく縮小した。ベトナムの5月の輸出額(通関ベース、確定値)は前年同月比9.1%減(前月:同16.2%減)の280億ドルと減少幅が縮小したものの、3ヵ月連続の前年割れとなった(図表3)。輸出の基調は昨年後半までコロナ禍からの世界経済の再開や電子製品の需要拡大により増加傾向が続いたが、その後は世界経済の減速により主力のスマートフォンや電子製品、アパレル製品の出荷が振るわず減少傾向にある。また輸入額は前年同月比20.8%減(前月:同23.1%減)の260億ドルと低迷した。結果として貿易収支は+20.1億ドルの黒字となり、黒字幅は前月から6.5億ドル縮小した。
輸出を品目別にみると、輸出全体の約2割を占める電話機・同部品が前年同月比28.9%減(前月:同33.4%減)、コンピュータ、電子製品・同部品が同7.8%減(前月:同10.5%減)と低迷した(図表4)。アパレル関連についても履物が同11.8%減(前月:同8.6%減)、織物・衣類が同6.4%減(前月:同19.5%減)となり、引き続き減少した。農林水産物を見ると、水産物(同23.0%減)と天然ゴム(同12.8%減)は減少したものの、カシューナッツ(同11.4%増)と野菜(同159
情報元サイト:「株式会社ニッセイ基礎研究所」
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