株式会社 高柳製茶 (静岡県)

東洋一の茶園と称された牧之原台地のお茶で仕立てた「牧之原の『雫茶』スパークリング」―静岡・高柳製茶

東洋一の茶園と言われた牧之原台地のお茶を扱う茶商「高柳製茶」は、昨年(2022年)創業120周年を迎えた老舗です。同社が、静岡・牧之原のお茶を次世代につなげていくために開発したのがボトル詰めしたスパークリングティー。特別な存在感をもつお茶は、ハレの日の食卓やギフトにおすすめです。

明治初期に拓かれた東洋一の茶園・牧之原台地のお茶

静岡県の牧之原市、御前崎市、菊川市、掛川市、島田市にまたがる牧之原台地は「東洋一の茶園」と言われたお茶処です。明治初期に拓かれた新しい茶園で、江戸時代に徳川家に仕えていた約200人の武士と大井川の川渡しの職人約1,000人が職を失うということで、勝海舟の指揮のもと開墾され茶畑に整備されたという歴史があります。

牧之原は標高200mほどの台地で、その面積は約5,000ha。そのうちの約2,400haが茶畑になっていて、日本国内では圧倒的な生産量を誇ります。また、今日では広く知られている「深蒸し茶」の発祥の地としても知られています。

「牧之原台地は気候がよく、標高もほどほどで寒暖差があるため、お茶の栽培に適しています。そのため、お茶の葉が大きく厚く育ち過ぎてしまうほどです。大きく厚い茶葉は従来の工程ではうまく仕上がらなかったそうです。そこで、お茶を長時間蒸すことによって、揉みやすく、組織を破壊しやすくしたのが深蒸し茶の発想の起点と聞いています」と「高柳製茶」の高橋裕尚さん。

一般に深蒸し茶は、まろやかな味が楽しめるのが特徴。苦渋味が少なく、お茶の甘味、旨味を感じやすいため飲みやすいと言われています。

明治35年から続く牧之原台地のお茶を扱う高柳製茶

2022年に創業120周年を迎えた「高柳製茶」は地元・牧之原台地のお茶を提供する茶商。日本の茶葉消費量は減少傾向が続くなかで、現在は4代目となる高柳敬将さんを中心に「お茶を未来へつなぐ!」を社是としてお茶づくりをしています。

「これから日本のお茶がどうなるのか予測がつかない状況ではありますが、それを憂いていても仕方がありません。まずは、一番茶と呼ばれるお茶の旬の時期に摘採したものの消費を促進していきたいと考えています。例えば、よいお茶でつくるとおいしくなることを伝えるためにお菓子に一番茶を使ったり、身近になったペットボトルやボトルなどに入った飲料としてのお茶づくりにも力を入れています」と高橋さん。

そうして、最終的には大手メーカーでも一番茶を使った商品づくりが始まると、自然とお茶産業が盛り上がっていくのではないかというのが今の代表の目指す姿なのだそう。東洋一の茶園・牧之原台地のお茶、静岡のお茶を残し、次の世代へとつないでいくための取り組みを積極的に行っています。

お茶への注目が高まるようにと開発されたスパークリングティー

地元のお茶を盛り上げていきたいと「高柳製茶」が取り組んだことの一つに、スパークリングティーづくりがあります。静岡市にあるBenefitea(ベネフィッティー)株式会社と思いを共有し、今から4年ほど前から同社から依頼を受けて専用原料の開発を開始。お茶は産地ごとに味が異なり、畑によっても味が変わります。さらに、つくり手の技術によっても差が出ることから共通点の多いワインにヒントを得た商品だそうです。

「ワインは単独でも目を引く、注目に値する商材です。一方のお茶は、あくまでも添え物であり注目されにくい。そこで『より珍しいものということでスパークリングティーに』というベネフィッティーの社長の西沢さんのひらめきが始まりだったと聞いています。西沢さんは、ボトリングティーを各産地の生産家の方に、まさにワインの蔵元のようにつくってもらいたいと話していて、弊社の高柳も賛同しております」と高橋さん。ワインのように各地で産地の特性を生かしたボトリングティーやスパークリングティーがつくられ、楽しまれる未来を思い描かれているそうです。

スパークリングティーは、お茶が再度注目されたり、露出度を高めるためのアイテムでもありますが、そのおいしさにも一切の妥協はありません。完成するまで相当な数の試験が繰り返されました。原料の茶葉も選定を重ね、最終的に上質な深蒸し茶の一番茶のみのシングルオリジンにたどり着いたそうです。

料理の邪魔をせず華を添える、爽快感のある喉越しが魅力

「喉越しはビールのような印象で、お茶の味に爽快感が出ます。現在、お寿司屋さんやレストランでも扱っていただいているのですが、ソフトドリンクとして邪魔にならず、ベースがお茶なのでお料理に合わせやすいと評価してくださっています」と高橋さん。
また、カクテルのモヒートの割材としてアレンジされることもあるそうで、そのおいしさは格別とか。

最近はコロナ禍を経て、お酒との関わり方が少し変わったことで、スパークリングティーが注目される機会が増えたと言う高橋さん。さらには、2023年5月に開催されたG7広島サミットでスパークリングティーが提供されたことで話題になるなど、スパークリングティーを広く知らしめる追い風が吹いているようです。

「上質な茶葉を使っていることもあり安価ではありませんが、記念日やお祝いなどのハレの日やギフトにぴったりだと思います。スパークリングということで、ちょっとした非日常感が味わえますし、テーブルにあるだけで華やかになりますよね。お酒は遠慮しようかなというときにも、お酒のような雰囲気があるので場の空気を乱すこともないと思います」

牧之原の「雫茶」スパークリングは、お茶好きの方はもちろん急須で淹れたお茶に親しみのない方、海外の方にも、お茶の新しい楽しみ方を提案できる逸品と言えます。

今回ご紹介した企業
株式会社 高柳製茶 (静岡県牧之原市)

明治初期に拓かれたお茶処・静岡県の牧之原台地を拠点とする老舗茶商「高柳製茶」。その上質な一番茶を広く親しんでいただきたいという思いで開発されたのが「牧之原の『雫茶』スパークリング」です。日本が誇るお茶とお茶文化を、スパークリングティーという新しいスタイルで体験してみてはいかがですか?

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