マンション建て替え/決議要件緩和されてもハードル高い/旭化成H調べ

政府は、マンションの建て替え決議要件などを緩和する区分所有法改正案について、今国会への提出を見送る方針を固めた。国会への提出が遅れると施行も遅れる可能性があるが、マンションの老朽化が社会問題化する中、区分所有者間の合意形成の難しさが障壁となっている建て替えの推進が喫緊の課題であることには変わりない。 旭化成ホームズ(東京都新宿区、川畑文俊社長)が2011年に行ったマンションの建て替え事業における所有者の実態調査に改めて注目したい。  同調査の対象は、同社が参画して建て替えを行った築26年?66年までのマンションの所有者。報告書によれば、建て替え決議時点で自ら居住していた区分所有者は40%にとどまり、賃貸が24%、空室が26%にのぼった。 特に築66年の「江戸川アパートメント」(東京都新宿区)と築49年の「野毛山住宅」(神奈川県横浜市)では自己居住率が著しく低く、築年数が経過したマンションほど区分所有者本人の居住が減り、賃貸住戸や空き家住戸が増える傾向が見られたという。また、同じ築年帯のマンションでも、構造部分の劣化が著しく進行していたマションは自己居住率が低く、合意形成までに時間を要したという結果も見られた。 建て替え後も、自己居住率が低いマンションは大幅な改善は見られず、権利を売却するケースも目立った。つまり、一度自己居住をしなくなった場合、建て替え後にマンションに戻ってきて居住する割合は高くないということだ。 71歳以上の区分所有者は、建て替え初期に「仮住まい・引っ越し」を不安に感じた割合が全体と比較して高い一方、「資金計画」に不安を感じている人は全体の割合より1割程度低かった。 同社の調査は、区分所有者間の意識の隔たりや建て替えへの温度差の大きさと建て替えのタイミングの難しさを浮き彫りにするものである。建て替え決議要件が緩和したとしても、費用の問題に加え、区分所有者ごとに異なる年齢や状況、意向が建て替えのハードルになることも少なくない。元のページを表示 ≫
情報元サイト:「週刊住宅タイムズ」
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